賃貸契約で住民票を求められたときに知っておくべき全注意点
「賃貸を契約するとき住民票は必要?」「住民票ってどこで用意するの?」など、賃貸契約の住民票に関して疑問に思っていませんか?
賃貸を契約するときは、ほぼすべての物件で住民票が必要で、役所にいけばすぐ発行できますが、個人情報に関わる危険な注意点があります。
このページでは、大手不動産会社に5年勤務し、現在も賃貸部門で働く筆者が以下の5つのことをご紹介します。
すべて読めば、賃貸で住民票も求められる理由から、転出・転入手続きの方法まで知ることができるので、失敗なく契約して引越しできるでしょう。
1.賃貸契約で住民票を発行するときの4つの注意点
賃貸では契約時、免許証との相違がないか、申込み時に記載した現住所との相違がないか、公的な書類でチェックするために住民票を求めます。
提出しなければ契約はできないので、住民票を求められたら指示通り、契約する日までに住民票を準備しましょう。
ただし、下記の4つの点については注意しなければ情報が無駄に漏れたり、再提出を求められ2度手間になります。
- 入居者全員の名前を記載する
- マイナンバー(個人番号)は絶対に記載しない
- 本籍地は不動産会社に記載するか確認する
- 発行から3ヶ月以内の原本を用意する
住民票で特に注意する4つの箇所 |
この注意点について、1つずつ詳しく解説していきます。
1-1.入居者全員の名前を記載する
住民票を発行するときは、契約者含め入居するひと全員分の名前を記載します。
ひとり暮らしの場合は上記のイメージ図通り、入居者だけの名前が入った住民票で問題ありません。
しかし、家族で暮らす場合は妻と子の名前も記載して発行することになります。もし不備があれば受け取ってもらえないので注意しましょう。
発行する住民票の名称がそれぞれ異なる
- ひとり暮らしのときは自分だけの名前が入った「住民票抄本」または「一部事項証明書」を発行する
- ファミリーで暮らすときは家族全員の名前が入った「住民票謄本」または「全部事項証明」を発行する
1-2.マイナンバーは絶対に記載しない
住民票を発行するとき、「マイナンバーは記載しますか?」と聞かれますが、絶対に記載しないようにしてください。
マイナンバーには、個人の所得や年金に関する大切な情報がひも付いているため、不動産会社も受け取ることができません。
万が一受理されて悪用されたときは、重大なトラブルに発展するので注意しましょう。
1-3.本籍地は不動産会社に記載するか確認する
本籍地を記載するかは不動産会社によって変わるため、一度確認する必要があります。
不動産会社が「どちらでもいいですよ」といってきた場合は、本籍地も重要な個人情報なので記載しないで発行しましょう。
ただ、中には本籍地ありの住民票を求めてくることが稀にあります。そのときは新たに発行する手間が増えるので、事前に確認しましょう。
1-4.発行から3ヶ月以内の原本を用意する
賃貸契約で必要な住民票は、”発行から3ヶ月以内の原本”と決められていることが多いです。
自宅に以前発行した住民票がある場合は、住民票下部の「○○○○年○○月○○日」を確認しましょう。
契約する日からさかのぼって3ヶ月以内であれば受理してくれますが、3ヶ月を超えるときは新たに発行する必要があります。
2.住民票を発行する3つの方法
住民票を発行するには、主に3つの方法があります。
- 住民登録してる市区町村の役所で発行する
- 郵送で発行する
- コンビニやドラッグストアで発行する
2-1.住民登録してる市区町村の役所で発行する
住民登録してる市区町村の役所もしくは事務所で発行することが一般的です。
そのときは顔写真付きの身分証が必要なので、忘れずに持っていくようにしましょう。
また、役所が開いてるのは基本的に平日8:30〜17:00です。場合によっては指定の曜日だけ夜19時までや、休日受付をしてるので調べてみましょう。
代理で発行してもらう
住民票は本人でなくても発行することができます。このとき、一緒に暮らしてる妻・親・兄弟であれば、窓口に来た人の身分証だけが必要です。
一方で、一緒に暮らしてない人が代理で発行するときは、市区町村指定の委任状が必要なので、事前に自治体のホームページからダウンロードして持っていきましょう。
住民登録している「○○区 住民票 代理」で検索すれば、市区町村ごとに代理で発行するときの手順や委任状が出てきます。
2-2.郵送で発行する
自分でも行けない上、代理人に依頼することもできない人は郵送で発行するようにしましょう。
区によって手続きの方法は変わりますが、基本的に郵便局から「現金書留」で、申請書・手数料・身分証コピーなどを役所に送るながれになります。
ただ、郵送の場合は発行までに10日〜2週間ほど時間がかかるので注意しましょう。
住民登録している「○○区 住民票 郵送」で検索すれば、市区町村ごとに郵送で発行するときの手順がわかる自治体のHPが出てきます。
2-3.コンビニやドラックストアで発行する
IC付マイナンバーカードを持っていれば、コンビニやドラッグストアのコピー機でも発行できます。
発行できる時間は毎日6:00~23:00の間なので、マイナンバーを持ってるひとは不便なく発行することができるでしょう。
発行できる大手有名店舗は以下のとおりです。
- セブンイレブン
- ファミリーマート
- ローソン
- ミニストップ
- ココカラファイン(ドラッグストア)
- ウエルシア(ドラッグストア)
3.住民票以外に賃貸契約で必要な書類
賃貸を契約するときは、住民票以外にも契約形態によってさまざまなものが必要となります。
この章では、契約形態ごとに必要な書類を解説していきます。
3-1.個人契約の場合
個人名義で賃貸を契約するときは、住民票以外に以下の書類を求められるケースがあります。
- 入居者全員分の身分証両面コピー(免許証・保険証・パスポートのいずれか)
- 収入証明書(源泉徴収票・給与明細3ヶ月分のコピー・確定申告書のいずれか)
3-2.法人契約の場合
法人名義で賃貸を契約するときは、以下の書類を事前に用意しておきましょう。
発行してからの期限 | 発行する場所 | 手数料 | |
登記簿謄本(原本) | 3ヶ月以内 | 法務局または役所 | 約600円 |
法人 印鑑証明書(原本) | 3ヶ月以内 | 法務局または役所 | 約450円 |
代表者 印鑑証明書(原本) | 3ヶ月以内 | 役所 | 約300円 |
入居者全員分の身分証 | – | – | – |
3-3.連帯保証人
連帯保証人をたてて契約するときは、以下の書類を事前に準備しておきましょう。
発行してからの期限 | 発行する場所 | 手数料 | |
保証人 印鑑証明書(原本) | 3ヶ月以内 | 法務局または役所 | 約300円 |
印鑑証明書の詳しい発行手順などは、「賃貸の契約で印鑑証明を求められる理由と持っていない時の対処法」を確認しましょう。
4.住民票に関する7つのQ&A
この章では、住民票に関してよくある質問をQ&A方式で紹介していきます。
ただ、物件によって対応が異なることもあるので、最終的には不動産会社の指示に従うようにしましょう。
- 実家から住民票を移してないですが平気ですか?
- 住民票の発行が間に合わないときどうすればいいですか?
- 提出する住民票は引越し先の住所が記載されているものですか?
- 同棲するとき住民票は移す必要ありますか?
- 短期間しか住まない予定でも住民票を移す必要ありますか?
- 外国人でも住民票は必要ですか?
- 入居前に住民票を移すことはできますか?
4-1.実家から住民票を移してないですが平気ですか?
事前に不動産会社に伝えておけば問題ありません。
ただ、実家で登録されてる住民票を求められるケースがあるので、そのときは親に頼むか、時間に余裕があれば郵送で発行しましょう。
現住所に住んでることが証明できるものを求められたときは、公共料金のハガキなどを提出しましょう。
4-2.住民票の発行が間に合わないときどうすればいいですか?
まずは不動産会社に確認したほうがいいですが、多くの場合、期日を決めてその日までに提出する形になります。
規定の厳しい不動産会社の場合、住民票の提出と引き換えでないと鍵を渡してくれないこともあるので注意しましょう。
4-3.提出する住民票は引越し先の住所が記載されているものですか?
現住所を証明するための住民票なので、今まで住んでた家の住所が記載されているものが必要です。
そのため、基本的に引越しが終わったあとに住民票を移すようにしましょう。
4-4.同棲するとき住民票は移す必要ありますか?
必ず移す必要はないので、状況に合わせて対処しましょう。
税金などの関係上移した方がいい場合は、所定の流れに沿って住民票を移しましょう。
4-5.短期間しか住まない予定でも住民票を移す必要ありますか?
最初から短期間ということが決まっているのであれば、移す必要はありません。
ただ、予定が変わり住み続けることになったときは、住民票を移した方がいいでしょう。
4-6.外国人でも住民票は必要ですか?
不動産会社から求められたときは、外国の方も住民票が必要です。
平成24年から制度が変わり、外国の方も住民票を発行できるようになったので、住んでる区の役所で発行しましょう。
4-7.入居前に住民票を移すことはできますか?
移すこと自体は可能ですが、場合によっては住んでる証拠となるものを役所から求められることが稀にあります。
理由は、前の入居者が転出届を出していないからです。
この場合、新たな引越し先と窓口で説明すれば了承してもらえることが多いですが、手元にあれば契約書の控えを持参した方がスムーズでしょう。
5.まとめ
賃貸の住民票について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
賃貸契約では大半の場合が住民票を求められるので、引越し先が決まった時点で用意しておいた方がいいでしょう。
そして、発行するときは以下の点に注意してください。
- 入居者全員の名前を記載する
- マイナンバー(個人番号)は絶対に記載しない
- 本籍地は不動産会社に記載するか確認する
- 発行から3ヶ月以内の原本を用意する
また、住民票は2種類あるので、状況に合わせて必要なものを用意しましょう。
- ひとり暮らしのときは自分だけの名前が入った「住民票抄本」または「一部事項証明書」を発行する
- ファミリーで暮らすときは家族全員の名前が入った「住民票謄本」または「全部事項証明」を発行する
このほかにも、引越しに伴いさまざまな変更・移転手続きが必要になります。詳しい内容を知りたい人は、「引っ越しですべき39の手続き|チェックリストでやり忘れを防ぐ!」を確認しましょう。
この記事を読んだことで、あなたの住民票に対する疑問が解決し、トラブルなく賃貸の契約ができることを心から願っています。