マンション売却の全知識|失敗せずに高く売却するための全6ステップ
マンションの売却を検討したいけど、「いったいどのように進めれば良いの?」「高く売却する方法や失敗しないための注意点にはどんなものがあるの?」などと様々な疑問に悩んでいませんか?
首都圏の中古マンション相場は過去20年で最も高くなっており、自宅や投資用マンションの売却を検討するには今が絶好の時期であることは間違いありません。
しかし、マンションの売却は、タイミングや進め方、選択業者次第で何十万・何百万円といった大きな差が簡単に生まれてしまうため、事前にきちんとした知識を身につけ、後悔しないように進めることが大切です。
このページでは、元大手不動産会社に勤務し、延べ2,000件以上の不動産売却に携ってきた筆者が、「マンション売却で後悔しないために大切な全知識」について、以下のような実際のマンション売却の流れに沿ったステップ方式でご紹介します。
- Step1. 準備編:マンション売却の全体像と重要ポイントを押さえる
- Step2. 計画編:マンション売却査定を取り仲介業者と媒介契約をする
- Step3. 売出編:売却マンションを売出し内見対応をする
- Step4. 契約編:売却マンションの売買契約を結ぶ
- Step5. 引渡編:引っ越し等の準備を済ませ売却マンションの決済・引渡しを行う
- Step6. 納税編:翌年2月にマンション売却についての確定申告・納税を行う
すべて読めば、「マンション売却」について、プロと同等の知識が身につき、賢く上手にマンション売却ができるようになるでしょう。
売り時は今!利上げで今後マンション価格は暴落する
2024年に日銀が行ったゼロ金利の解除は、住宅ローン金利を引き上げ、これまで好調だった不動産相場の暴落へとつながります。
アメリカでは2022年に大きな利上げがあり、都心のビルが半値で売却されるなど、実際に暴落が起きています。
来年以降は売却益が半減するリスクもあり、かろうじて低金利が続く2024年はまさにマンションの売り時と言えます。
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査定額や対応力で業者の比較もでき、売却のパートナーとなる仲介業者選びまでがスムーズに行えます。
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目次
Step1. 準備編:マンション売却の全体像と重要ポイントを押さえる
マンション売却で損して後悔しないようにするために、まずはマンション売却の全体像と重要ポイントについてしっかりと事前に理解しておくようにしましょう。
<事前理解すべき重要ポイント>
上記1~5でマンション売却の全体像を理解した上で、6~7のポイントを確実に押さえることがマンション売却で失敗しないために最も大切です。
以下、一つ一つ具体的に解説していきます。
1-1. マンション売却のベストな時期
私はこれまで長く不動産業界にいて不動産売買相場を見てきた経験から、以下の理由により、「マンションの売り時は今がベスト」といえます。
- 低金利の今こそ、高く売れるチャンス
- 今後も低金利が続くとは限らない
- 相場が過去20年で最も高い
それぞれ解説していきます。
理由1.低金利の今こそ、高く売れるチャンス
今が売り時と言える大きな理由の一つに、低金利があげられます。
金利が低いと、ローンを組むハードルが下がり、マンションの買い手が増えて、相場も高くなるからです。
金利が1%違うだけで、住宅ローンの返済額は大きく変わってきます。下図を見ると、その影響の大きさがわかります。
2013年以降、金融緩和によって金利は下がり続けました。低金利によって住宅ローンを組みやすくなり、買い手は増え、より高くマンションが売れるようになりました。
2024年11月時点のメガバンクの住宅ローン金利を以下にまとめました。
変動金利 | 固定金利(10年) | |
みずほ銀行 | 0.375~ 0.825% | 1.40~ 1.85% |
三菱UFJ銀行 | 0.345~ 0.425% | 1.12~ 1.20% |
三井住友銀行 | 0.625~ 0.875% | 1.80% |
変動金利は1%を切っており、固定金利ついても1%台という低い金利での借入が可能となっています。
このように低金利で、買い手が住宅ローンを組みやすい、今こそがマンションの売り時と言えます。
マイナス金利解除の影響はまだ小さい
2024年3月、日銀はこれまでの低金利を支えてきたマイナス金利政策の解除を決定しました。
利上げがあったのは事実ですが、1%にも満たない小幅な上昇で、住宅ローンへの影響はまだ限定的です。
今後さらに利上げの可能性がありますが、過去の事例を見ると、1%未満の変更が半年~1年おきにしか行われないので、少なくとも2024年中は低金利の状態が続きます。
そもそもマイナス金利とは
日銀の金利をマイナスにすることで、銀行から会社や個人への融資を促進し、景気を良くする狙いがあります。
私たちはみずほや三菱といった民間の銀行にお金を預けますが、同じように銀行側は、日銀にお金を預けています。
銀号は日銀にお金を預けることで本来利息がもらえますが、マイナス金利になると、逆に利息を取られることになります。
損をしないために、銀行はお金を溜め込まず、住宅ローンも含めた個人や法人への融資を活発にするようになります。
2016年以降ずっとマイナスでしたが、2024年に大企業を中心に賃上げが多く行われ、景気回復の兆しが見えたことで、解除となりました。
理由2.今後も低金利が続くとは限らない
日本ではもう20年以上低金利が続いていますが、これは今後も必ず続くとは限りません。
世界に目を向けると、アメリカでは物価上昇(インフレ)を抑える目的で、2022年から5%もの大幅な利上げが行われています。
その影響を受けて住宅ローン金利も7%以上まで一気に上がり、以下のような不動産価格の暴落と言える事態も起きています。
- ロサンゼルスで三番目に高いビル「エーオンセンター」が10年前の約半額に
- サンフランシスコの中心街のビルが10年前の約3分の1の価格で売却される
大幅な金利上昇は、あくまで「ハンバーガーが一個3,000円」のように大きなインフレがあるアメリカの話で、日本にはまだ当てはまりません。
ただ、日本でも企業の賃上げが相次ぐなど、景気回復の兆しがあり、今後高金利に向かう可能性は高いので、今のうちに売るのが賢い選択です。
理由3.相場が過去20年で最も高い
長く続いてきた低金利の影響もあり、直近の中古マンション相場は、過去20年で最も高くなっています。
相場が高い時に売りたいのであれば、まさに今が売り時と言えます。
データ引用元「東日本不動産流通機構」
2000年代以降、低金利でローンが組みやすくなり、住宅の購入が増えたことで、より高い物件が売れるようになりました。
さらに、近年は円安で外国人にとって日本の物件が割安になり、海外の投資家からのニーズも拡大しています。
こうした影響もあり、直近の相場は過去20年で最高を記録しています。
ただし、今後は金利上昇により好調な相場が崩れるリスクが非常に大きく、ピークと言える今のうちに売るべきです。
以上を踏まえ、相場が過去20年で最も高く、金利も低い今こそがマンションの売り時と言えます。
1-2. マンション売却の2つの方法
マンションの売却方法には大きく以下の2つの方法があります。
- 買取
- 仲介売却
簡単にご説明すると、「買取」は業者の査定額で売るかどうかを決めるだけ、「仲介売却」は業者の仲介により一般のマンション購入希望者と条件を交渉し合意できれば売却という流れになります。
そのため、「買取」の方が圧倒的に工程が少なく、手間や時間が掛からないというのが仕組み上の特徴です。
以上の内容も含め、「買取」と「仲介売却」の重要4ポイントにおける違いをまとめると以下のようになります。
「買取」と「仲介売却」の4つの違い | ||
違い | 買取 | 仲介売却 |
①売却に掛かる時間 | 約1ヶ月 | 約3ヶ月 |
②手間 | ○ | × |
③仲介手数料 | なし | あり |
④売却価格 | 実勢価格の6~7割程度 | 実勢価格 |
「買取」は、「手間なく早く売れ、仲介手数料が掛からない」と一見良いこと尽くしのように見えますが、肝心の売却価格(買取価格)は実勢価格の6~7割程度と激安になってしまいます。
これは、車の下取りと同じで、業者は取得したマンションを適宜クリーニング・リフォームして再販する前提での買取となりますので、その利益分を考慮すると当然の査定額と言えます。
反対に「仲介売却」では、時間と手間とコストの面では買取に劣りますが、最終購入者へ直接の実勢価格で売却できるため、「買取」よりも圧倒的に高く売却することが可能です。
そのため、賢いマンションの売却方法としては、「どうしても今すぐ売れないと困る」等のよほどの特別な事情がない限りは、「仲介売却の方法で、できる限り費用を抑えて高く売る」というのが得策です。(※具体的な方法については1-7の項目でご紹介しています)
1-3. マンション売却の流れ
マンション売却の流れを大きな項目別に分けると、上記のような10の項目に分けられます。
そして、この全ての工程で積極的に関与してマーケティング・売却戦略立案から始まり、マンション売却の流れ全体の進行役となる存在が、いわゆる「仲介業者」に当たります。
そのため、マンション売却で失敗しないために最も大切な項目は、その仲介業者の選定に当たる「①価格査定」と「②仲介業者決定・契約」の2つであると言えます。
1-4. マンション売却に掛かる費用
マンション売却に掛かる費用としては、上記のようなタイミングで「必ず掛かる費用」と物件の状態や売主の事情、高く売るための戦略等として「状況次第で掛かる費用」があります。
また、反対に「戻ってくる可能性のある費用」もあり、特にローンの残債期間が長く残っている人にとってはその金額も大きくなります。
マンション売却で失敗しないためにも、最低限これらを理解して賢く計画することが大切です。
マンション売却に掛かる費用については、『一目瞭然!マンション売却時に出入りする費用の流れと目安金額早見表』にて詳細に解説しておりますので、必要な方はご参考にしてください。
1-5. マンション売却の必要書類一覧
マンション売却の必要書類には、各タイミング毎に上記のように様々なものがあります。
特に「登記済権利証(登記識別情報)」等の重要書類についてはマンション売却に際して必ず必要となり、万が一紛失した際等には事前の手続き等も必要になりますので、事前に一通り理解しておくと良いでしょう。
マンション売却の必要書類については、『マンション売却の必要書類を写真で解説!取得方法〜紛失時対処法まで』で詳細に解説しておりますので、必要な方はご参考にしてください。
1-6. マンション売却の2つの注意点
ここまでの内容で概ねのマンション売却の全体像が掴めてきたかと思いますが、実際にマンション売却を計画するにあたっては、事前に理解しておくべき2つの注意点があります。
- 売り急ぎ
- ローン残債
売り急ぐと売却価格が低くなってしまう
通常、マンション売却では十分な広告期間を設定して、できるだけ多くの購入希望者を募ることで、競争の原理により少しでも高く買ってくれる人を見つけるようにすることが定石です。
しかしながら、短い期間での売り急ぎの必要性が出てくると、早く売却するために敢えて相場よりも安い価格で売り出す必要性や、最悪の場合には「買取」方式にて安価で売却する必要がでてきます。
相続や海外転勤等で、不意に売却の必要性が出てきた場合等、やむを得ない場合もありますが、マンション売却の検討にあたってはできるだけ高く売却するために必ずスケジュールに余裕を持って計画するようにしましょう。
マンション売却の標準的な目安期間 | ||
計画検討〜売出し | 売出し〜売買契約 | 売買契約〜決済引渡し |
約1〜3ヶ月 | 約1〜3ヶ月 | 約1~3ヶ月 |
ローン残債がある場合には売却に制約がでる可能性がある
ローンが残っている場合にマンションを売却するには、売却代金や自己資金等でローンを全額返済することが必要です。
そのため、「ローン残債>売却価格」で補填できるほどの自己資金もないというケースでは、そもそもマンション売却自体ができない可能性が高いため注意が必要です。
しかしながら、マンションの住み替え(買い替え)の場合には「住み替え(買い替え)ローン」を活用することで不足する残債額も含めて融資が受けられる可能性もありますので、覚えておくとよいでしょう。
住み替え(買い替え)ローンとは、通常、売ってから買うことが原則であるマンション住み替え・買い替えにおいて、売却と購入を同時に行うことができるようにつくられたローンです。
そして、使い方によっては上図のように、売却代金では不足する残債額を新たな購入物件の価格に上乗せして融資してもらえる可能性があります。
当然、融資審査に通ることが前提ですが、自己資金なしでより良い物件に住み替え・買い替えしたり、「今のローン返済が苦しいので安い物件に住み替えたいが売却しても残債の一括返済ができない…」といった場合に有効です。
しかしながら、住み替え(買い替え)ローンでは売りと買いの決済を同時(同日)に行わないといけないという点から、各案件のタイミング調整や関係者全員のスケジュール調整等の難しさもありますのでその点には注意が必要です。
1-7. マンション売却で賢く利益を上げるために最も大切な2つのポイント
前章のとおり、マンションの賢い売却方法としては、「仲介売却」の方法でできる限り費用を抑えて高く売るということですが、そのための具体的な方法として最も大切な2つのポイントをご紹介します。
マンション売却で利益を最大化するためには、下記の2つを意識することが大切です。
- 賢く見積もり査定を取り、「売出し価格を高く」する
- 売却費用でも最も大きな「仲介手数料」を抑えつつ、それでも買い主を見つけて来れる力のある仲介業者に依頼する
マンションを売る際には様々な費用が掛かりますが、売り方次第ではあまり費用を掛けずに売却することも可能です。
そして、その中で最も大きな金額を占める重要な費用が「仲介手数料」です。
仲介手数料は、不動産業者や交渉によっても変わってきますが、宅建行法により上限額が決められており、ほとんどの業者がその上限で料金設定しています。
宅建行法に基づく、仲介手数料の上限額は以下の通りです。
宅建業法に基づく仲介手数料の上限額 | |
---|---|
「売買価格」 × 3% + 6万円 + 消費税 | |
売買価格3,000万円(消費税10%)の場合 | 105万6000円 |
売り主にとっての利益を最大化するためには、この「仲介手数料」を抑えながら、「売出し価格を高く」して、それでも買い主を見つけて来れる力のある仲介業者に依頼することが最も大切です。
仲介手数料を安く抑えるには
前述の通り、仲介手数料は、何も言わなければほとんどの業者で上限価格設定されているため、必ず複数社比較しながら安くしてもらうよう交渉することが大切です。
交渉によっては、通常3%のところを2%で引き受けてもらえるといったようなケースも多く、仮に売却価格3,000万円の物件であればそれだけで税込み33万円も費用を抑えることができます。
そのため、まずは無料一括査定サービス等を活用して、複数の業者に売却価格の査定と共に媒介条件の提示をお願いするようにしましょう。
無料一括査定ならここがおすすめ
不動産売却の無料一括査定サービスはたくさんありますが、運営会社の信用度や参加企業群の優良度から見ても、NTTデータスマートソーシングが運営する『HOME4U』が圧倒的におすすめです。
『HOME4U』は、数ある不動産無料一括査定サービスの中でも最も老舗で20年以上の歴史と累計50万件以上の実績があります。また、NTTデータグループ企業が運営している点からも信用度が圧倒的です。
HOME4U公式ホームページ「https://www.home4u.jp」
地元業者も含めて幅広くリサーチしたい場合にはここもおすすめ
『HOME’S』は、大手の不動産業者以外にも地元の不動産業者の登録が非常に多く、登録業社数が3,800社以上と、数ある無料一括査定サービスの中でも最大規模の業者です。
先の『HOME4U』の2,300社以上と比較しても圧倒的な登録業社数と言えます。
特に地方等、大手の不動産業者以外にも、地元の不動産業者を含め幅広いリサーチがしたい人にはおすすめです。
HOME’S公式ホームページ「https://www.homes.co.jp/satei/」
売出し価格を高くするには
結論から言うと、複数社から査定を取り、最も高い査定額(場合によってはそれ以上の価格)を基準に、その価格で売出す前提での条件をそれぞれの業者と交渉することが必須です。
物件の売出し価格は、売り主に決定権があるため、ある程度自分で決めることができます。
しかしながら、仲介業者は媒介契約を結ぶと買い主を見つる努力をする義務が発生するため、自分の実力以上の仕事や条件が割に合わない仕事は当然に受けません。
仲介業者からすると、「できるだけ条件の良い物件を相場より安く仲介することで、早く簡単に仕事が回せる」というメリットがあり、自分たちが無理なくまとめられる価格でしか査定しないという裏事情もあります。
そのような、業者都合の理由で売り主が損をするというのはあってはなりませんので、必ず複数社から査定を取ると共に自身でも相場を調べ、最低でも最高査定額(それが腑に落ちない場合には自身で調べた価格)を基準にそれぞれの業者と交渉するようにしましょう。
Step2. 計画編:マンション売却査定を取り仲介業者と媒介契約をする
前章の準備編の内容をしっかりと押さえたら、実際にマンション売却の各工程へ入っていきます。
そして、実際のマンション売却の各工程の中で最も大切な工程がこの計画編と言えます。
マンション売却計画がしっかりとしていれば、あとは仲介業者に任せて各工程を進めるだけですので、その大切なパートナー探しでもある本編をしっかりと押さえて、満足のいくマンション売却ができるようにしましょう。
<計画編のポイント>
2-1. まずは自分でも相場を調べてみる
計画段階では実際に不動産業者からマンション売却査定を取ることになりますが、自分でもある程度の相場を把握して、不動産業者と対等な目線で話し合いができるようにしておくことが大切です。
そのための具体的な方法としては以下の2つの方法があります。
- 不動産広告サイトで確認
- 取引事例確認サイトで確認
マンション売却価格の相場の2つの確認方法 | ||
方法 | 確認できること | |
1 | 不動産広告サイトで確認 | 売出し価格 |
2 | 取引事例確認サイトで確認 | 売買成立価格 |
不動産広告サイトで確認
『SUUMO』や『HOME’S』等の大手不動産広告サイトでは常に多くの売出中物件の広告が掲載されているため、自身のマンションと同エリア・類似条件の物件を比較的容易に探すことできます。
これらのサイトで売出中の類似物件が見つかれば、自分が売り出した際の競合物件となる訳ですので、一つの相場判断の参考とすることができます。
一方で、そのときに売出中の物件しか探せず類似物件が見つかるとは限らない点や、あくまで売出価格にすぎないため、「その価格が適正であるか」や「きちんと成約するか」まではわからないといった点には注意が必要です。
<メリット>
- 簡単に売出中の類似物件が探せる
- 競合物件の条件を事前に確認できる
<デメリット>
- その時に売出中の物件しか探せない
- 適正な価格であるかどうかまではわからない
- きちんと成約するかどうかはわからない
取引事例確認サイトで確認
2つ目の相場確認方法として、過去のマンション売買取引事例がデータベース化されていて、ユーザーが検索して相場を確認することができる取引事例確認サイトの利用が挙げられます。
この場合には、実際に成約した実績を基にした価格相場を調べることができるため、より実態に則した形の相場判断の参考にすることができます。
しかしながら、実際に売買された実績のある物件のデータしかありませんので、そもそものデータ数が少なく、事実上、売買事例が多い大型マンション等でしか使えないといったデメリットもあります。
<メリット>
- 過去の成約実績に基づいた相場が確認できる
- エリア毎の過去の相場推移がわかる
<デメリット>
- 売買事例のない物件の価格はわからない(わかるケースの方が少ない)
- 個別物件の価格まではわからない
- 会員登録をしないと詳細が見られないサイトが多い
おすすめの取引事例確認サイト
『REINS Market Information(レインズ・マーケットインフォメーション)』
宅建業者が媒介契約により関わった不動産取引は、宅建行法により「REINS(レインズ)」という業者専用データベースへの記録が義務付けられており、取引事例確認サイトは、この「REINS(レインズ)」の情報を基にしていることから、どのサイトでも出てくる情報量はほぼ同じといえます。
また、レインズでは一般の人でも簡単に過去1年間のエリア毎の売買取引実績が検索・確認できます。
仮に、「新宿区西新宿」で検索すると以下のような結果になりました。
過去1年間で合計118件のマンション売買取引実績が確認できました。
これらは、実際の取引に基づく成約価格を集計公表されたものになりますので、民間サイトの相場検索などと比較しても圧倒的な信頼性があります。
2-2. 複数の不動産業者から売却査定を取る
自分でもある程度の相場を掴んだら、次に不動産業者から実際のマンション売却査定を取ることになりますが、その際に大切なポイントは必ず複数の業者から査定を取るということです。
その理由は以下の通りです。
- 入り口は多い方が信頼できるパートナーに出会える確率が上がる
- 情報が多い方が相場の確認の精度が上がる
- 売出し価格・仲介手数料の等の条件交渉のための比較材料になる
まず大前提として押さえておくべきポイントとして、マンション売却価格査定では、業者により査定額は大きく異なります。
それは、業者により特性(営業エリア、規模、得意分野、自社広告媒体の有無、在庫物件、問い合わせ状況等)が全く異なるためです。
特に不動産はエリア特性が強いため、得意な営業エリア外の案件の場合には過去事例の確認のみといった機械的な査定のみで全く頼りにならないような業者も中には存在しています。
そのため、マンション売却価格査定では必ず複数社(自分が納得のいく業者に出会うまで何社でも)から査定を取り比較することが大切なのです。
2-3. 査定額の根拠等から業者の信頼性を見極める
複数の業者を比較する際に、査定額ばかりに目がいってしまう人が多いですが、実はそれ以上に大事なポイントが「査定の根拠」です。
どのようなマーケティングを行っているかで業者の実力や良し悪しがわかる
しっかりとしたマーケティングを行なっている業者であれば、査定額の根拠について、その物件固有の事情を見極めて、「どんな人が購入者の候補で、どんな物件が競合となり得て、現在いくらで売出し中であり、それと比較した上で有利・不利な点はこうであるから、今回はいくらぐらいで売り出すのが妥当」といったような具体的な説明があります。
このようにしっかりとした良い業者を選ばないと、「売り出しても全く買い手つかない → 価格を下げる → 結局安く売る羽目になってしまう」という負のスパイラルに陥る可能性があるため注意が必要です。
2-4. 最も信頼できる業者と媒介契約を結ぶ
以上のポイントを押さえた上で、最も信頼できる感じた業者と媒介契約を締結することになりますが、その際の媒介契約には3つの種類が存在するため、どれが最も有利であるかを自分で見極める必要があります。
最初は一社と専任媒介契約、ダメなら複数社と一般媒介契約へ
3種類の媒介契約 | ||
種類 | 概要 | メリット・デメリット |
専属専任媒介契約 |
| <メリット>
<デメリット>
|
専任媒介契約 |
| <メリット>
<デメリット>
|
一般媒介契約 |
| <メリット>
<デメリット>
|
それぞれ一長一短があるため、どれがベストかは一概には言えませんが、業者から見た際には一社独占の専任契約である「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」の魅力が当然に高く、言い換えると「様々な要望を聞いてもらいやすく、案件も優先して取り組んでもらえやすい」ということなるため、まず最初は信頼できる業者へ1~2ヶ月間の短期で専任契約して様子を見ることをおすすめします。
Step3. 売出編:売却マンションを売出し内見対応をする
仲介業者が決まったら、いよいよ実際にマンションの売出しとなります。
ここでも、売り出し方によって、購入希望者からの反響の多寡が大きく異なってきますので、仲介業者との交渉にあたって注意すべき点と高く売却するためのポイントをご紹介していきます。
<売出編のポイント>
3-1. 売出し時の2つの注意点を押さえる
売出し時には、仲介業者と以下の2つの点について交渉・打ち合わせをしておくことをおすすめします。
- 追加費用が発生しない範囲でできるだけ多くの広告を出してもらうよう交渉する
- 契約手付金の額はできるだけ安くして買い手の候補を増やす
追加費用が発生しない範囲でできるだけ多くの広告を出してもらうよう交渉する
マンション売却の広告料については、基本的に仲介業者の負担となるため、どんな媒体にどのくらいの量の広告を打つかは仲介業者が決定します。
従って、通常は、売主から別途注文により広告量を増やした場合には、追加広告料を請求されることになりますが、追加費用が発生しない範囲で、事前に広告の内容と量について確認・交渉しておくとよいでしょう。
契約手付金の額はできるだけ安くして買い手の候補を増やす
マンションの購入者は、売買契約の時点で契約手付金を支払うことになりますが、手付金の額については双方の取り決めによって自由に設定することができます。
この際、安すぎると契約キャンセルのリスクが高くなり、逆に、高すぎるとローンで購入を考えている人が一旦立替えなければならない額が大きくなり手が出せず問合せが減ってしまうというリスクがあります。
そのため、「10万円」等のように安すぎるのは問題ですが、状況に合わせて「50~100万円」程度に抑える等の工夫をしながら問い合わせを増やす方向に持っていった方がよいでしょう。
3-2. 高く売却するための6つのポイントを押さえる
マンションを高く売却するために最も大切なことは、同じような条件の競合物件よりも買い手から見た印象を良くすることです。
特に中古マンションの購入者は、「価格・立地・間取り・広さ・設備グレード」といった基本的な条件がマッチする複数の物件を比較検討し、最も気に入った物件に購入希望を出すという行動をとります。
そのため、相場よりも高くマンション売却するためには、基本的な条件の良さをアピールするだけでは足りず、競合物件と比較された際の相対的な印象の良さを演出することが大切です。
その演出の方法として、最も効果的な秘訣としては、以下の6つが挙げられます。
相場よりも高くマンション売却する為の6つの秘訣 | ||
1 | 重要度 ★★★★★ | 広告用写真は必ずプロ仕様のものを用意してもらう |
2 | 重要度 ★★★★★ | 目立つ損傷部は事前に補修しておく |
3 | 重要度 ★★★★★ | 水回り部分は入念に掃除しておく |
4 | 重要度 ★★★★★ | 内見前に不要な物は処分しておく |
5 | 重要度 ★★★★☆ | できるだけ家具がコーディネートされている状態で見せる |
6 | 重要度 ★★★★☆ | 住んでみないとわからないようなプラス情報を整理して伝える |
一つ一つは小さなことですが、実は、これらが完璧になされている物件は意外と少なく、すべて完璧にしていればそれだけで大きな差がつきます。
以下、具体的に解説していきます。
秘訣①|広告用写真は必ずプロ仕様のものを用意してもらう
これは、業者選びの際の条件や比較ポイントとしても重視すべき点ですが、広告用の物件写真は必ずプロに撮ってもらった高品質なものを用意してもらうようにしましょう。
購入検討者は、必ずまず最初にインターネットで物件の広告写真を見て興味があるかを判断します。
その際、プロが撮った写真か素人が撮った写真かでは明らかに大きな差があり、最初に興味を持ってもらえるかどうかだけでなく、その後の印象にも大きく影響するためマスト条件とも言えるぐらい重要なポイントです。
実例:某不動産広告サイトに掲載されていた同じ物件の広告写真比較
以下は、某大手不動産広告サイトに掲載されていた売り物件の広告写真です。
同じマンション内の異なる住戸が、別々の仲介業者を通して広告掲載されているものですが写真のクオリティだけで全く物件の印象が異なってくるのがわかると思います。
<プロが撮ったであろう高品質な写真>
<素人が撮ったであろう普通の写真>
どちらの写真の方が問い合わせが多いかは、容易に想像ができるのではないでしょうか。
秘訣②|目立つ損傷部は事前に補修しておく
(出展:エースリペアHPより)
(出展:エースリペアHPより)
インターネット広告の写真や条件に興味を持った購入検討者は、次に実際の物件の内見を行うのが一般的です。
そして、その際に重要なポイントの一つとして、目立つ損傷部は事前に補修しておくことをおすすめします。
それは、物件の印象にも大きく関わりますし、買い手からすると前のオーナーがどの程度大切に住んでいたかという点も意思決定の大きな材料になり得るからです。
あくまで同じような基本条件の物件の中で相対比較されているという点を肝に銘じ、最終判断は意外と小さな差で行われるということを強く意識しましょう。
秘訣③|水回り部分は入念に掃除しておく
(出展:ぴかぴかハウスクリーニング柏HPより)
(出展:くらしのマーケットHPより)
(出展:ホワイトハウスHPより)
マンションの住戸内で、物件の印象やグレード感を大き左右する箇所は水回り部分です。
水回り部分は最も汚れが出やすく、前のオーナーの生活の仕方が一番現れる部分でもあります。
さらに、壁紙や建具・フローリング等は素人目にはあまり違いがわかりにくく印象に残りにくいのに対し、キッチン・トイレ・洗面台・ユニットバス等ははっきりと印象に残ります。
そのため、内見時に良い印象を演出する上で、水回り部分のきれいにしておくことは必須と言えます。
秘訣④|内見前に不要な物は処分しておく
(出展:ここかじ魔法のお片づけより)
物件の良し悪しを判断する上で、非常に重要なポイントが、実際の広さだけでなく「感覚的に広く感じるか」という点です。
住戸の平米数自体は広くても、物が多くて感覚的に広く感じないということや、逆に、物があまりなく実際の平米数以上に広く感じるなどということは、誰もが経験したことがあると思います。
購入検討者が内見をするタイミングは大抵1度だけしかありませんので、その際に良い印象を持ってもらうためにも、できるだけ不要な物は処分して感覚的な広さを演出するようにしましょう。
秘訣⑤|できるだけ家具がコーディネートされている状態で見せる
(出展:家撮り部HPより)
引越しのタイミングや売却の事情等で難しいケースもあると思いますが、できれば内見時には家具がコーディネートされた状態で見せる方が得策です。
新築マンションのモデルルーム等を見に行くと必ずおしゃれな家具ですべての部屋がコーディネートされていると思います。
これは、部屋の使い方をイメージしやすくしたり、上手くコーディネートすることでおしゃれな印象を与えたりといったメリットの他にも、空の部屋よりも部屋を広く見せられるといった効果もあります。
よく、家具や家電等を買いに行った際に、「店頭では大きすぎて部屋に入らないのでは」と思ったモノが、実際に部屋に入れてみると意外ときれいに収まり、むしろ部屋が広く感じるという経験があるのではないでしょうか。
このように、程よく家具がコーディネートされている状態の方が、様々な点でメリットがありますので、できるだけ家具がコーディネートされている状態で内見対応されることをおすすめします。(※既に空き家になっている場合には、レンタル家具等でコーディネートまでやってくれる業者もあります。)
秘訣⑥|住んでみないとわからないようなプラス情報を整理して伝える
内見のタイミングで購入検討者が確認したい項目は、実際の物件の印象については当然ながら、日当たりや風通し・騒音等の住んでみないとわからない情報も多く含まれます。
そのため、ただ物件を見せるだけではなく、住んでみないとわからないようなその物件プラス情報を事前に整理しておき、直接伝えてあげるだけでも印象が良くなります。
住んでみないとわからないうようなプラス情報の例
- 風通しが良く夏場夜はクーラーいらずで電気代が安い
- 遮音性が高く上下左右の住戸の音は全く聞こえない
- マンション住人は非常に礼儀正しくて良い人ばかり…等
物件の印象だけでなく、住んだ後の生活のイメージも良く伝われば強力な差別化になります。
Step4. 契約編:売却マンションの売買契約を結ぶ
マンションの売出し・内見対応の末、購入希望者が現れた場合には、契約条件の交渉を行い、合意の上で売買契約を締結することになります。
この際にも、押さえておいた方が良い3つのポイントがありますので、順にご紹介していきます。
<契約編のポイント>
4-1. 引渡し後の契約不適合責任はできるだけ無くす
「契約不適合責任」とは、売却した物件に契約書に記入していない不具合(雨漏りや給排水管の故障等)があった場合、その補修や損害賠償を買主が売主に請求できる制度のことを言います。
逆にいうと、不具合があったとしてもそれを契約書に記載することで買主が事前に了解していれば責任は問われないことになります。
そのため、後々トラブルになりそうな不具合は契約書に記載できるよう、契約前に全て仲介業者に伝えておくようにしましょう。
また、契約不適合責任を一切負わないという特約も有効なため、築年数の古い物件などで不具合が後々多く見つかりそうな物件の売却の際は、仲介業者に特約がつけられないか相談してみましょう。
契約不適合責任を一切負わないという特約を結んでいたとしても、売主が知っていながら買主に伝えていなかった不具合については、責任を取らなければいけないというルールがあります。
よって責任を負わない特約を結ぶ場合も、買主が今後物件に住む上で重要になりそうな不具合については、必ず隠さずに契約前に伝えておくようにしましょう。
4-2. 複数の買い手候補と最低2・3回ずつは条件交渉する
マンション売却は「少しでも良い条件で買ってくれる買い手を探す作業」ですので、買い手候補と交渉しながら売出価格以上の好条件で買ってくれる人がいないかを確認するべきです。
最初に決めた売出価格は、あくまでマーケティングに基づいて決めた理論価格に過ぎません。
そして、売り手と買い手の合意価格で成り立つマンション売却においては、その理論価格にも正解などありません。
人によってはその物件に理論価格以上の価値を感じてくれるケースも多々ありますので、状況に合わせて交渉しながら良い条件を引き出すことが大切です。
複数の買い手候補から問い合わせがあった際には、必ず入札方式のような流れで条件を交渉しながら、最好の条件で売却するようにしましょう。
4-3. 売買契約から決済・引渡しまでの期間はなるべく短くする
売買契約から決済・引渡しまでの期間は、売り主と買い主双方の事情を基に協議して決めるのが一般的ですが、特段の事情がないのであれば、なるべく短くしておいた方がお得です。
決済・引渡しまでの期間を短くすることで以下のようなメリットがあります。
- 売り主の状況変化等のよるキャンセルリスクが低減できる
- ローン保証金の解約返還額が多くなる(残債が残っている場合)
- 火災保険の解約返還額が多くなる
- 固定資産税・都市計画税の清算額が多くなる
それぞれ数日程度ではあまり効果は大きくありませんが、1ヶ月単位になれば全部で数万円〜数十万円といったそれなりの金額差になってきますので、なるべく早く決済・引渡しをした方が得策です。
Step5. 引渡編:引っ越し等の準備を済ませ売却マンションの決済・引渡しを行う
晴れて売買契約が締結できたら、あとは決済・引渡しに向けて着々と準備を進めていくことになります。
この際の注意点としては以下の2つが挙げられます。
<引渡編のポイント>
5-1. 管理会社・管理組合等に売却事実を事前に報告しておく
マンション売却に伴って所有者や居住者が変わることになるため、その旨は管理会社や管理組合に事前に届け出ておく必要があります。
管理費・修繕積立金の徴収解除や駐輪場・駐車場等の解約等で、通常最低1ヶ月以上前までには届け出ること等の規約があることがほとんどですので、直前になってバタバタしないためにもなるべく早い段階事前報告をしておきましょう。
5-2. 火災保険等の解約も引渡し日に合わせて忘れずに行う
火災保険は契約期間の途中で解約すると、未経過分の保険料が戻ってきます。
しかしながら、そのことを知らずに引渡し後も放置していたり、かなり時間が経ってから解約依頼をする人が意外と多いのが実情です。
金額自体はそこまで大きな額ではありませんが、きちんと引渡し日に合わせて事前に解約依頼を行い、最大限の返還金を受け取れるようにしておきましょう。
Step6. 納税編:翌年2月にマンション売却についての確定申告・納税を行う
マンション売却で譲渡所得(税務計算上の利益)が発生した場合や、譲渡損失が発生した場合には、翌年の2~3月に確定申告をして納税や税金の還付を受ける必要があります。
マンション売却時期が年末の方であれば、確定申告までの時間が比較的短いためまだよいのですが、年初に売却した場合には1年以上経ってからの手続きとなるため忘れないように注意が必要です。
以下、納税フェーズで重要な3つの注意点を解説していきます。
<納税編のポイント>
6-1. 税金の特例優遇条件に該当しないかどうかを確認してもらう
マンション売却した後に以下の計算式で利益(譲渡所得)が出ている場合には翌年に確定申告をして「譲渡所得税・復興所得税・住民税」を支払うことになります。
「売却価格」−「減価償却後の取得費(不明の場合は売却価格の5%)」−「譲渡費用(仲介手数料・印紙税等)」−「特別控除(条件が当てはまる場合)」=『譲渡所得』
減価償却後の取得費とは、その物件を取得した価格から、経年に伴って減少した価値相当分の金額を差し引いた額のことです。
※よく、“取得した価格をそのまま取得費にできる”と勘違いされている人も多いですが、経年による減価償却費分は減額されてしまいますので注意が必要です。
どの程度の金額を差し引くかは税法によって定められており、以下のようになります。
減価償却費の計算方法(定額法にて計算) | ||
自宅用(非事業用)の場合 | 事業用の場合 | |
差し引く償却額 | 取得価格 × 0.9 × 償却率 × 経過年数 | 取得価格 × 償却率 × 経過年数 |
償却率 | 鉄筋コンクリート造:0.015(70年償却) | 鉄筋コンクリート造:0.022(47年償却) |
重量鉄骨造:0.02(51年償却) | 重量鉄骨造:0.03(34年償却) | |
軽量鉄骨造:0.025(40年償却) | 軽量鉄骨造:0.038(27年償却) | |
木造:0.031(33年償却) | 木造:0.046(22年償却) |
さらに、譲渡所得の計算上で大切なのが「特別控除」の存在です。
自宅を売却した場合には3,000万円特別控除があり、他にも買い替えの場合の課税繰り延べ特例等、様々な種類の優遇特例が用意されているため、単純に得した金額に税金が掛かるわけではないということを覚えておきましょう。
その際、特別控除等の特例優遇を受けるには、それぞれ細かな条件を満たしている必要があります。特例優遇が受けられるかどうかで税額が大きく変わってきますので、必ず仲介業者等に相談して専門家に確認してもらうようにしましょう。
6-2. 事前に税金額を計算し翌年の確定申告に備えてお金を残しておく
前述の通り、前項でご説明した計算式で利益(譲渡所得)が出ている場合には、数ヶ月〜1年以上後に納税する義務がありますので、きちんと納税額を計算して残しておく必要があります。
税額の計算には専門的な知識が必要であるため、最終的には仲介業者に相談して専門家に確認してもらうのがベストですが、自分でもある程度の判断ができるように重要ポイントを以下にまとめておきます。
譲渡所得は、売却物件の所有期間に応じて以下のように分けられ、大きく税率が変わります。
- 「売却した年の1月1日において所有期間が5年超」=「長期譲渡所得」
- 「売却した年の1月1日において所有期間が5年以下」=「短期譲渡所得」
(注) 「所有期間」とは、土地や建物の取得の日から引き続き所有していた期間をいいます。この場合、相続や贈与により取得したものは、原則として、被相続人や贈与者の取得した日から計算することになっています。
「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に掛かる税金と税率はそれぞれ以下の通りです。
長期譲渡所得 | 短期譲渡所得 | |
譲渡所得税率 | 15% | 30% |
復興所得税率 | 所得税×2.1% | |
住民税率 | 5% | 9% |
合計 | 20.315% | 39.63% |
特に、所有期間5年以下の「短期譲渡所得」の場合には合計税率39.63%と多額の税金を納める必要があるため必ず事前に正確な税額を把握しておきましょう。
6-3. 譲渡損失が出た場合も必ず確定申告して他の所得と損益通算する
前項とは逆に、マンション売却で「譲渡損失」が出た場合には、当然に税金は掛からず、確定申告も不要ですが、他に収入がある人で一定の条件を満たす場合には損益通算(損失額を他の所得からマイナス)して税金を減らすことができます。
そのため、「マンション売却で譲渡損失が出た場合でも、翌年の確定申告はするべき」と覚えておきましょう。
特に、会社員等で給料から所得税が源泉徴収(天引き)されている人は、確定申告して損益通算することで税金が戻ってきますので、必ず忘れずに行いましょう。
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マンション売却に掛かる税金については、『誰でもわかる!マンション売却で掛かる税金と優遇をやさしく完全解説』で詳細に解説しておりますので、必要な方はご参考にしてください。
7. まとめ
いかがでしたでしょうか。
「マンション売却」についての疑問や悩みが解消できたのではないでしょうか。
マンション売却は、一見難しそうで、「とても多くの手間や労力が掛かるのでは?」という勘違いをされている人も多いですが、売買後の確定申告も含めて実は意外と簡単に売却できてしまいます。
本ページでは「マンション売却」について、重要なポイントは出来る限り網羅的にご紹介してきましたので、上記の内容をしっかりと理解した上で、後悔しない上手な売却を検討してみて下さい。
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