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賃貸の退去で失敗しないための全知識|費用や掃除のコツまでプロが解説!

「賃貸を退去するときはなにをすればいいの?」「賃貸を退去するとき費用はかかる?」など、賃貸の退去について疑問に思っていませんか?

賃貸を退去するときは、物件ごとにかわる退去のルールを事前に把握しておかないと、無駄な費用を請求される恐れがあるので注意が必要です

このページでは、大手不動産会社に5年勤務し、現在も賃貸部門で働く筆者が以下の3つのことをご紹介します。

  1. 退去するときにまずチェックする4つのチェック項目
  2. 退去立会いまでに終わらせておくべき掃除内容は?
  3. 敷金を最大まで取り戻すためのポイント

すべて読めば、退去するときの注意点や、実際にかかる費用までわかることに加え、敷金を多く取り戻す方法まで知ることができるでしょう。

1.退去するときにまずチェックする4つの項目

賃貸物件を退去するときは、まず「管理会社に退去希望の連絡をする」ことからはじまりますが、退去の流れは以下のとおりです。

  1. 管理会社に連絡する
  2. 解約日・引き渡し日を決める
  3. 退去に向けて部屋を掃除する
  4. 退去日に立ち合いをする

物件により解約の方法が異なりますが、管理会社に連絡して「解約したい」と伝えれば、やるべきことを教えてくれます。

ただし、「賃貸借契約書ちんたいしゃくけいやくしょ」を事前に確認してから連絡することで、解約のタイミング・違約金などで損することがなくなります。

この契約書に解約に関する重要なことがすべて記されていますが、解約時は下記の4点を特に詳しく確認しておきましょう。

  • いつまでに、どうやって解約するのか
  • 違約金が設定されているか
  • 退去する月の家賃の精算方法
  • 退去時の費用

この4つの観点について、具体的になにを確認すべきか解説していきます。

万が一契約書を失くしてしまったり、手元にない場合は、その旨を不動産会社に伝えてコピーを送って欲しいとお願いしましょう。

このとき、契約を手伝ってもらった仲介会社ではなく、物件を管理している”管理会社”に連絡するようにしてください。

1-1.いつまでに、どうやって解約するのか

まずはじめに、契約書には「甲・乙」という言葉が出ています。このとき「甲は貸主」・「乙はあなた」ということになります。

そして、一番最初に確認する項目が「乙からの解除」という項目です。この部分には以下のように書いてあります。

「乙が本契約を解約するときは、少なくとも”1ヶ月前”までに”書面”をもって甲に通知しなければならない」

契約書の内容に従う

上記の場合は解約したい日の1ヶ月前までに「○月○日に解約します!」と、必ず書面で通知しないと解約することはできません。

ここでいう書面とは解約届や解約通知書というもので、管理会社から送ってもらうか、契約書に付随されていることが多いです。管理会社によってはHPからダウンロードできることもあります。

そして、上述の解約したい日の1ヶ月前の期間のことを、正しくは「退去予告期間」といいます。

解約予告期間は物件により異なる

一般的な解約予告期間は1ヶ月前のことが多いですが、高級物件や礼金0の物件は2ヶ月前もしくは3ヶ月前となっていることが多々あります。

この部分は退去するときに重要となるので、必ずチェックした上で退去のスケジュールを検討しましょう。

1-2.違約金が設定されているか

スマホの契約条件と同様に、賃貸物件でも規定の期間前に解約すると「短期解約違約金」が発生します。

一般的に多い条件だと、「1年未満の解約で違約金1ヶ月分」です。ただ、すべての物件に違約金が設定されているわけではなく、下記の条件だと設定されやすい傾向があります。

  • 礼金0の物件
  • フリーレント付きの物件(フリーレント:一定期間の家賃がタダになること)
  • 値引き交渉した物件

主に契約時の条件が借りる人にとって有利なときに、見返りとして設定されます。

この短期解約違約金が設定されている場合は、契約書の「乙からの解除」または「特約事項」という項目に以下のように記載されている可能性が高いです。

「乙からの申し出による1年未満の解約の場合は、家賃1ヶ月分を違約金として甲に支払う」

フリーレント付き物件は要注意

1年未満の短期解約違約金と、フリーレントに対する違約金が設定されている物件を、1年未満に解約すると合計2ヶ月分の違約金を請求される恐れがあります。

また、短期解約の違約金発生が1年未満の条件でも、フリーレントの違約金発生が2年未満の条件になっているケースもあったりします。

このように、物件の契約条件によってさまざまな違約金が設定されているので、必ず契約書を確認した上で退去の計画を立てるようにしましょう。

1-3.退去する月の家賃の精算方法

物件の契約条件ごとに、退去する月の家賃の精算方法が主に以下の3つにわかれます。

  • 日割り精算
  • 月割り精算
  • 半月割り精算

この精算方法に関しては、契約書の「賃料等」の項目に以下のように記載されています。

「 1ヶ月に満たない期間の賃料及び管理費等は、すべて当月の日割り計算とする」

日割り精算

一番スタンダードな精算方法で、賃料を30もしくは31で割って日割り分を精算する方法です。

仮に、12月14日に退去した場合は、14日分の賃料だけ請求されることになります。

また、賃料は翌月分を前月に支払うシステムなので、14日分以外の賃料は後日返金される流れになります。

月割り精算

高級物件でたまに見かける精算方法ですが、文字どおり1ヶ月単位で精算する方法です。

仮に、12月14日で退去しても、12月中の賃料は返金されません。

そのため、月割り精算の場合は月末に退去することが望ましいでしょう。

半月割り精算

かなり稀ですが、1日~15日の半月分を払うか、1日~31日までの1ヶ月分を払うか分かれる精算方法です。

仮に、12月14日で退去する場合は半月分を選択すれば問題ないですが、12月16日退去だと1ヶ月分を選択する必要があるので、損することになります。

この部分をうまく計算して、契約のスケジュールを立てるようにしましょう。

1-4.退去時の費用

契約書には、退去時にあなたが負担すべきものの金額が書かれているので、事前に把握しておきましょう。

一般的に多いのは”ハウスクリーニング費用”で、専門業者が室内を綺麗にするためにかかるお金です。

金額は部屋の大きさによって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。

㎡(平米)数金額
〜30㎡未満15,000円〜30,000円
30㎡〜50㎡30,000円〜50,000円
50㎡以上〜50,000円〜

業者は貸主が決めるので、あなたが「ここの業者でお願いします」といっても一切受け入れてくれません。このことは契約書にも書かれています。

そして、清掃にかかる費用は敷金から差し引かれます。仮に敷金0の物件だと、必ずあとから請求されることになるでしょう。

ただ、2章以降を読んで必要箇所の掃除をしっかりしておけば、最小限の費用で抑えることができるので、必ず確認するようにしましょう。

2.退去立会いまでに終わらせておくべき掃除内容は?

退去立会いは、管理会社の担当者と一緒に空になった室内を確認します。

そして、入居したときに提出した「室内確認表」をもとに、あなたがつけた傷や汚れかをチェックして、敷金の返金額を決定するのです。

そのため、敷金に影響する部分で事前に掃除することができることは、必ず退去立会いまでに終わらせておきましょう。

2-1.まずは水回りを綺麗にする

退去するときは、部屋を空にするだけでなく、最低限の掃除はしておいたほうがいいです。

特に、敷金に影響しやすい水回りとキッチン周りは綺麗にしておいたほうが印象はいいでしょう。

水回りの掃除で活躍する道具

浴室や洗面台は、シャンプーや石鹸の残りで発生するカビや変色が目立ち、敷金に影響するので、以下のような道具を使って事前に掃除しておきましょう。

山崎産業 清掃用品 タイル目地ブラシ 355円(税込)

山崎産業 清掃用品 タイル目地ブラシ

掃除業者も使っているほど、クオリティの高いブラシです。両サイドにソフトタイプとハードタイプの毛質の異なるブラシがついてることが特徴です。

浴室や洗面台のほか、トイレやキッチンでも使えるので、引越しの掃除用として1本は準備しておきましょう。

この商品は「楽天」や「Amazon」で買えるので、お好みのサイトで購入しましょう。

茂木和哉 水アカ洗剤 1,592円(税込)

茂木和哉の洗剤

開発者である”茂木和哉さん”の名前を商品名にするほど自信のある洗剤です。

この洗剤があれば、浴室や洗面台の鏡の水アカ、キッチンの水アカなどが綺麗になります。このほかにも、バスタブ用、コゲ落とし、トイレ用もあります。

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2-2.壁紙の穴を綺麗に隠す

画鋲より大きい穴は敷金から差し引かれてしまうので、綺麗に隠しておくことが望ましいです。

穴を埋めるボンドのようなものがたくさん売ってるので、自宅の壁紙にあう色合いのものを用意しておきましょう。

建築の友 クロスの穴埋め材スーパー 275円(税込)

クロスの穴埋め

ティッシュなどを詰め込んで穴を隠す方法もありますが、バレる可能性もあるので、しっかりと補修できるものを使用しましょう。

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2-3.どこまで掃除しておくべき?

退去するときは、室内すべてを綺麗にする必要はありませんが、下記の状態にしておくことが望ましいです。

  • 部屋の中に私物が一切ない
  • キッチン周りの黒カビが取れている
  • 浴室の洗剤跡が取れている
  • 鏡の水アカが取れている
  • 壁の穴を綺麗に塞ぐ
  • 粗大ゴミを残さない

上記の部分だけでも終わらせておけば、必要以上のお金は取られにくいでしょう。

2-4.退去立会いのとき気をつけること

入居時に提出した室内確認表が手元にあれば、用意したうえで不動産会社の人と一緒にチェックしましょう。

3章で解説しますが、冷蔵庫の電気ヤケなどの自然消耗によるものを指摘されたときは、「貸主負担のはず」としっかり主張することが大切です。

専門の業者が立ち会うときは注意する

損傷を直す専門の業者が管理会社と一緒に来た際は要注意です。

そういった業者は高い金額を請求すればするほど修繕費で儲かるので、悪質な業者だと相場以上の金額を請求してきます。

一緒に確認し、相場以上の料金でないか気をつけるようにしましょう。

立会い時はサインを控える

また、立会い時、敷金・解約精算書にサインを求められる可能性がありますが、修繕費に納得できなければサインをせず、持ち帰って内容を確認しましょう。

「相場などを調べてからサインしたいので何日か待ってください」と伝えれば大丈夫です。

そして、敷金・解約精算書の費用でぼったくられてないか確認・比較するために、3章の貸主と借主どちらが負担する項目なのかを把握しておきましょう。

3.敷金を最大まで取り戻すためのポイント

賃貸の退去で最も揉めやすいもの、騙されやすいものが「敷金の返還」です。

敷金は返ってこないもの、と諦めている方もいるかもしれませんが、基本的に普通に使っていれば全額返ってくるものです。

項目別に、なにを借主が負担すべきで、どこまでが貸主の負担なのか知っておくことが大切です。

契約書に特約などで書いていない限り、普通の生活の範囲内でのダメージ(貸主が負担すべきもの)は敷金から差し引かれません。

※多くのケースで「クリーニング代」は借主が払うと契約書に書かれていて、その場合は敷金から差し引かれます。

ただし、その他の項目は明記されていないことが多いので、確認し、騙されないようにしましょう。

3-1. 床の傷みに関して負担すべきもの、しなくていいもの

フローリングや畳など、「床」に関連したものは下記のように考えます。

借主が負担すべきもの貸主が負担すべきもの
  • 引越し作業で生じた傷
  • 雨などが吹き込んだ事による、畳やフローリングの色落ち
  • 落書きなど故意の汚れや傷
  • 家具の設置による床やカーペットのへこみや跡
  • (日照や建物の欠陥による雨漏りによる)畳の変色・フローリングの色落ち

そのほか、次の入居者のための畳の裏返し・表替え(表面を綺麗にする作業)やフローリングのワックスがけなどは、貸主の負担になります。

ここは揉めるケースがあるので注意しましょう。

また、下記のように通常の使用をしていても、手入れが悪く、ダメージなどが残った場合は借主の負担になります。

  • カーペットに何かをこぼして、きちんと拭かなかった事によるカビやシミ
  • 冷蔵庫下のサビを放置して拭いても落ちなくなったサビや汚れ

3-2. 壁や天井の傷みに関して負担すべきもの、しなくていいもの

壁や天井に関しては下記のように考えます。

借主が負担すべきもの貸主が負担すべきもの
  • タバコによるヤニや臭い
  • くぎ穴やネジ穴をあけた場合(画鋲の穴より大きいと危険)
  • 借主の所有するクーラーの水漏れを放置した事による壁の腐食
  • 天井に直接つけた照明器具の跡
  • 落書きなど故意の汚れや傷
  • テレビや冷蔵庫の後部壁面の黒ずみ
  • ポスターや絵を貼ったことによる日焼け跡
  • エアコンの設置によるビス穴・跡
  • 日照など自然現象によるクロスの変色
  • 壁の画鋲やピンなどの穴

また、下記のように通常の生活をしていても、手入れが悪く、ダメージなどが残った場合は借主の負担になる可能性があります。

  • 台所の油汚れ
  • 結露の放置によるカビやシミ
  • 貸主の所有するクーラーの水漏れを放置した事による壁の腐食

3-3. 建具(ふすまや柱)の傷みに関して負担すべきもの、しなくていいもの

襖(ふすま)や柱などの建具に関しては下記のようになります。

借主が負担すべきもの貸主が負担すべきもの
  • ペットによる柱などのキズ・臭い
  • 落書きなど故意の汚れや傷
  • 地震などでのガラスの破損
  • ガラスの加工処理などにより自然に生じた亀裂

そのほか、次の入居者のための網戸の張り替えは、破損していない限り貸主の負担になります。

3-4. その他、負担すべきもの、しなくていいもの

そのほかの項目では下記のポイントです。特に、ハウスクリーニング、紛失していない鍵の取り替えは、揉めやすいので要注意です。

借主が負担すべきもの貸主が負担すべきもの
  • 鍵の紛失・破損による取り替え
  • (一戸建ての)庭に生い茂った雑草
  • 日常の不適切な手入れ・もしくは用法違反による設備の毀損
  • 鍵の取り替え費用
  • 設備の寿命による故障や使用不能
  • 通常の清掃以上のハウスクリーニング
  • 喫煙などの臭いが付着していない場合のエアコン洗浄
  • 台所やトイレの消毒
  • 浴槽や風呂釜の取り替え

また、下記のように通常の使用をしていても、手入れが悪く、ダメージなどが残った場合は借主の負担になります。

  • ガスコンロ置き場・換気扇等の油汚れ・すす
  • 風呂・トイレ・洗面台の水垢やカビ

3-5. 契約書次第なので要注意

上記の中で、貸主の負担とすべきものも、契約書の特約などで、事前に借主が負担することが明記されているケースが多いです。(東京都の方は「賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書」に記載。)

ガイドラインで貸主が負担すべきとなっている項目でも、契約書に書かれていると基本的に借主の負担になります。

上記をもとに、解約精算書と照らし合わせながら、負担する金額に誤りはないか確認するようにして、納得できない点があれば管理会社にきちんと主張しましょう。

4.まとめ

賃貸の退去について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

退去しようと決めたら、まずは以下のチェック項目を確認するようにしましょう。

  1. いつまでに、どうやって解約するのか
  2. 違約金が設定されているか
  3. 退去する月の家賃の精算方法
  4. 退去時の費用

そして、敷金から差し引かれる項目を確認したうえで、退去立会い日までに部屋を綺麗に掃除しておきましょう。

敷金・解約精算書を受け取ったら、ガイドラインを確認して、貸主負担のものが盛り込まれていないか必ずチェックするようにしましょう。

この記事を読んだことで、あなたの退去に関する疑問が解決され、トラブルなく退去できることを心から願っています。