土地売却で絶対に失敗しない為の14の注意点と高く売る4つの秘訣
土地売却を検討していて、「損をしない為に事前に押さえておくべき注意点にはどんなものがあるの?」と気になっていませんか?
全国の土地価格は過去20年で見ても高い水準にあり、自宅や投資用の土地売却を検討するには今が絶好の時期であることは間違いありません。
しかし、土地売却はあくまで売り手と買い手の合意価格で取引される原則があるため、賢く売却しないと「本当はもっと高く売れたのに損をしてしまった…」「無駄な費用がかさんで利益が減ってしまった…」なんてことにもなりかねません。
このページでは、元大手不動産会社に勤務し、延べ2,000件以上の不動産売却に携ってきた筆者が、「土地売却で損をしない為の注意点と賢く売却するための秘訣」について、以下の流れに沿ってご紹介します。
すべて読めば、「土地売却の注意点と賢く売却して利益を最大化する方法」について、プロと同等の知識を身につけることができるでしょう。
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2024年に日銀が行ったゼロ金利の解除は、住宅ローン金利を引き上げ、これまで好調だった不動産相場の暴落へとつながります。
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目次
1.土地売却で損をしない為の全14の注意点
土地売却の流れは、上記のように大きく4つのフェーズ毎に10のステップがあります。
その流れの中で、損をしないためにそれぞれのフェーズ毎に注意すべきポイントをまとめると下表のような14の注意点があります。
土地売却で損をしない為の全14の注意点 | |||
売却準備 フェーズ | 1 | 重要度 ★★★★★ | 早めに動き余裕を持った売却スケジュールで考えておく(売り急がない) |
2 | 重要度 ★★★★★ | 査定を通して、できるだけ多くの業者の条件を比較する | |
3 | 重要度 ★★★★☆ | 仲介手数料等の売主負担費用については安くしてもらうよう交渉する | |
4 | 重要度 ★★★★★ | 好感度の高い営業担当(業者)を選ぶ | |
5 | 重要度 ★★★★★ | 高額査定を出した業者が、その額で売ってくれるとは限らない | |
売出し フェーズ | 6 | 重要度 ★★★★☆ | 追加費用が発生しない範囲でできるだけ多くの広告を出してもらうよう交渉する |
7 | 重要度 ★★★★☆ | 引渡し後の契約不適合責任はできるだけ無くす | |
8 | 重要度 ★★★★☆ | 契約手付金の額はできるだけ安くして買い手の候補を増やす | |
9 | 重要度 ★★★★★ | 複数の買い手候補と最低2・3回ずつは条件交渉する | |
引渡し フェーズ | 10 | 重要度 ★★★☆☆ | 売買契約から決済・引渡しまでの期間はなるべく短くする |
11 | 重要度 ★★★☆☆ | 火災保険等の解約も引渡し日に合わせて忘れずに行う | |
納税 フェーズ | 12 | 重要度 ★★★★★ | 税金の特例優遇条件に該当しないかどうかを確認してもらう |
13 | 重要度 ★★★★★ | 事前に税金額を計算し翌年の確定申告に備えてお金を残しておく | |
14 | 重要度 ★★★★★ | 譲渡損失が出た場合も必ず確定申告して他の所得と損益通算する |
上記の注意点さえしっかりと押さえておけば、「無知が故に土地売却で損をしてしまう」ということはほぼなくなります。
次章以降、フェーズごとにそれぞれ具体的に解説していきます。
1-1. 売却準備フェーズにおける5つの注意点
土地売却で損をしない為の注意点 | |||
売却準備 フェーズ | 1 | 重要度 ★★★★★ | 早めに動き余裕を持った売却スケジュールで考えておく(売り急がない) |
2 | 重要度 ★★★★★ | 査定を通して、できるだけ多くの業者の条件を比較する | |
3 | 重要度 ★★★★☆ | 仲介手数料等の売主負担費用については安くしてもらうよう交渉する | |
4 | 重要度 ★★★★★ | 好感度の高い営業担当(業者)を選ぶ | |
5 | 重要度 ★★★★★ | 高額査定を出した業者が、その額で売ってくれるとは限らない |
前項の注意点一覧表からもわかる通り、土地売却の注意点は初期の段階に多く、はじめが肝心とも言えます。
特に、具体的に売出す前の「売却準備フェーズ」は重要ですので、しっかりと押さえるようにしましょう。
注意点1|早めに動き余裕を持った売却スケジュールで考えておく(売り急がない)
土地は最初に売出した価格で売れることは滅多に無く、ほとんどの場合、買主側から価格交渉を持ちかけられ、交渉の中でお互いに納得のいく価格が決まって初めて成約となります。
時間に追われて売り急いでいると交渉の時間が取れず、他の買主を見つける余裕もないため、買主の言うままに値下げをして安く売る羽目になってしまいます。
売主にとっての利益を最大化するためには、交渉のための時間的な余裕を持ちつつ売出していくことが重要となります。
下図の通り、首都圏における土地の売出し期間の平均は、例年3~4ヶ月程度となっています。
データ引用元「東日本不動産流通機構」
この程度の日数がかかるのが一般的なため、売出し期間としては、少なくとも4ヶ月は余裕を持つことをすすめます。
売出し期間とは、全体の流れの中で言うと、下図の通り現地確認や条件交渉を含め、実際に売出してから契約するまでの期間のことを言います。
最初の査定から売り出しまでや、売買契約成立から引渡しまでにはそれぞれ約1ヶ月かかるのが基本です。
そのため、引渡しを終えたい時期から逆算して6ヶ月前には業者への査定の依頼を始める等、売却に向けて動き出すようにしましょう。
注意点2|査定を通して、できるだけ多くの業者の条件を比較する
売却にあたってまずすべきことは、物件の価格査定を行いパートナーとなる仲介業者を決定することですが、査定の際は必ず複数の業者に依頼をするようにしましょう。
理由としては、以下3つがあります。
- 入り口は多い方が信頼できるパートナーに出会える確率が上がる
- 情報が多い方が相場確認の精度が上がる
- 売出し価格・仲介手数料の等の条件交渉のための比較材料になる
仲介業者は売却の進行役となる大事な存在であり、複数社を比較せずにその選定に失敗すると、後の工程でどれだけ注力しても結局安値で売却することになり後悔するということになりかねません。
業者を選ぶための具体的な基準については注意点3~5で解説します。
注意点3|仲介手数料等の売主負担費用については安くしてもらうよう交渉する
土地売却に掛かる費用の中で、ダントツで金額が大きい費用が「仲介手数料」です。
仲介手数料とは、不動産業者に買い主を見つけて来てもらうところから、契約・引渡しまで滞りなく行うためのあらゆるサポートをしてもらう対価として支払う手数料です。
仲介手数料の対象となる仲介業務には、一般的に以下のような内容が含まれています。
- マーケティング・ターゲティング
- 探客・広告活動
- 現地確認等の段取り手配・立会い
- 条件交渉の代行・仲立ち
- 融資サポート
- 契約書・重要事項説明書の作成
- 登記手続き手配
- 測量・物件調査等の手配
- 残置物処分等のサポート
- 確定申告のためのサポート
- その他個別に必要なサポート等
色々と書いてありますが、要は“土地売却に必要なことほぼ全て”です。
そのため、不動産業者と媒介契約を結ぶだけで、売主はほぼ何もしなくてもまるで執事のように全てサポートしてもらえます。
仲介手数料は、不動産業者や交渉によっても変わってきますが、宅建行法により上限額が決められており、ほとんどの業者がその上限で料金設定しています。
宅建行法に基づく、仲介手数料の上限額は以下の通りです。
売買価格(税込み) | 仲介手数料の金額 |
---|---|
200万円以下の金額 | 5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の金額 | 4%+消費税 |
400万円を超える金額 | 3%+消費税 |
土地売却の場合、ほとんどのケースで400万円を超えると思いますが、400万円を超える場合に簡単に仲介手数料上限額を計算するための計算式はこちらです。
<簡易計算式>
仲介手数料の上限額 =「売買価格」 × 3% + 6万円 + 消費税
何も言わなければ、ほとんどの業者が上記の金額を要求してきますが、交渉次第では安くしてもらえるケースも多いため、必ず事前に交渉してから媒介契約を結ぶようにしましょう。
ただ、やりすぎると割りの良い他の案件を優先される等、サービスの質低下につながる可能性も十分にありますので、注意が必要です。
注意点4|好感度の高い営業担当(業者)を選ぶ
不動産業者の営業担当者には様々な人がいますが、できるだけ万人ウケしそうな好感度の高い営業担当(業者)を選ぶことが大切です。
好感度の高い営業担当は、自分が接しやすいだけでなく、買い主候補となる人にとっても印象が良くなり以下のようなメリットが出てきます。
- 安心感に繋がり話が次に進みやすくなる
- 条件交渉の際に話がこじれて破談になるリスクが下がる
- 同じような条件の購入候補物件があった際にも選ばれやすくなる
土地売却は、あくまで人と人との対話による合意で成り立ちますので、その仲介役となる営業担当者の印象によっては大きなメリットにもデメリットにもなります。
必ず好感度の高い営業担当者(業者)を選ぶようにしましょう。
注意点5|高額査定を出した業者が、その額で売ってくれるとは限らない
一括査定サイトで複数社に査定を取ると、他社に比べて極端に高額な査定を提示してくる業者がいることがあります。
もちろん本当にその額で売れると踏んで査定を出している場合もありますが、中には、その額では売れないことを知りながら、高い査定を出している業者も存在します。
売れないと分かっているのに、なぜ高額査定をするの?
他社より高い査定額で売主の気を引き、専任媒介契約(売却を一社に一任する契約)を結ぶことだけが目的です。
業者は、売主と契約をしないことには仲介手数料が得られないため、まずは他社より先に契約を取ることに必死にならざるを得ない事情があります。
結果として、下記のようなことを考えて高額査定を出す業者がどうしても出てきてしまします。
- 「査定額で売る決まりはないし、売り出しの時にでも理由をつけて値下げを提案すればいい」
- 「契約ができて仲介手数料がもらえるのであれば、最終的にいくら安くなろうと関係ない」
高額査定を出した業者が、売主の「高く売りたい」という望みをかなえてくれるとは限らないのです。
こうした業者に惑わされないためには、査定額よりもその根拠に目を向けることが大事になります。
しっかりとしたマーケティングを行なっている業者であれば、査定額の根拠について、その物件固有の事情を見極めて、下記のような項目について具体的な説明があるはずです。
- ターゲットとなる購入者像
- 競合となりうる物件と比較した上で有利、不利な点
- 具体的な販売手法(どのように広告を売っていくか等)
業者を決める上では、査定額の大きさでなくこれらの根拠について納得の行く説明があるかどうかを基準にすることが鉄則と言えます。
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特に地方等、大手の不動産業者以外にも、地元の不動産業者を含め幅広いリサーチがしたい人にはおすすめです。
1-2. 売出しフェーズにおける4つの注意点
土地売却で損をしない為の注意点 | |||
売出し フェーズ | 6 | 重要度 ★★★★☆ | 追加費用が発生しない範囲でできるだけ多くの広告を出してもらうよう交渉する |
7 | 重要度 ★★★★☆ | 引渡し後の契約不適合責任はできるだけ無くす | |
8 | 重要度 ★★★★☆ | 契約手付金の額はできるだけ安くして買い手の候補を増やす | |
9 | 重要度 ★★★★★ | 複数の買い手候補と最低2・3回ずつは条件交渉する |
売出しフェーズで重要となるポイントには、大きく「探客」と「売買契約の条件交渉」の2つがあります。
その2つの重要ポイントについて、媒介契約を結んだ仲介業者と協議しながら決めていくことになりますが、その際に押さえておくべき注意点をご紹介していきます。
注意点6|追加費用が発生しない範囲でできるだけ多くの広告を出してもらうよう交渉する
仲介業者は買い手を探すにあたって一定の広告掲載を行いますが、どのような媒体を使ってどの程度の量の広告を出すかは、大抵、業者側が判断します。
この際、業者からするとできるだけ費用を掛けずに探客した方が利益が大きくなるため、当然に広告量を抑えがちになる傾向があります。
そのため、広告方法については事前に確認し、追加費用が発生しない範囲で多くの広告を出してもらうように交渉することが大切です。
宅建業法により、仲介業者は「売主からの依頼のない広告に伴う広告費は売主に請求してはいけない」という決まりになっていますが、売主からの依頼があった場合には費用請求できることになっているため注意が必要です。
仲介業者と広告についての話をする際には、必ず「追加費用が発生しない範囲で…」という話をするようにしましょう。
注意点7|引渡し後の契約不適合責任はできるだけ無くす
「契約不適合責任」とは、売却した物件に契約書に記入していない不具合(地中に障害物がある、土壌汚染がある等)があった場合、それらの撤去や損害賠償を買主が売主に請求できる制度のことを言います。
逆にいうと、不具合があったとしてもそれを契約書に記載することで買主が事前に了解していれば責任は問われないことになります。
そのため、後々トラブルになりそうな不具合は契約書に記載できるよう、契約前に全て仲介業者に伝えておくようにしましょう。
また、契約不適合責任を一切負わないという特約も有効なため、不具合が後々多く見つかりそうな物件の売却の際は、仲介業者に特約がつけられないか相談してみましょう。
契約不適合責任を一切負わないという特約を結んでいたとしても、売主が知っていながら買主に伝えていなかった不具合については、責任を取らなければいけないというルールがあります。
よって責任を負わない特約を結ぶ場合も、買主が今後物件を使う上で重要になりそうなことについては、必ず隠さずに契約前に伝えておくようにしましょう。
注意点8|契約手付金の額はできるだけ安くして買い手の候補を増やす
土地売却に伴う売買契約では、双方のキャンセルリスクを減らしたり、売主の引渡し準備に掛かる費用補填の目的で契約手付金を買い主が払うのが通常です。
契約手付金の額には特に決まりはなく、あらかじめ契約条件として双方で交渉する内容です。
この際、契約手付金の額を多くすることで買い主の資力にフィルターをかける等の考え方もありますが、個人的には、契約手付金の額はできるだけ安くして買い手の候補(交渉可能相手)を増やす方が得策だと思います。
特に、買い主が購入をローンで検討している場合には、契約手付金は重い負担となりますので、安い方が好まれますし、その分売買価格が多少高くても承諾してくれる可能性も上がります。
注意点9|複数の買い手候補と最低2・3回ずつは条件交渉する
土地売却は「少しでも良い条件で買ってくれる買い手を探す作業」ですので、買い手候補と交渉しながら売出価格以上の好条件で買ってくれる人がいないかを確認するべきです。
最初に決めた売出価格は、あくまでマーケティングに基づいて決めた理論価格に過ぎません。
そして、売り手と買い手の合意価格で成り立つ土地売却においては、その理論価格にも正解などありません。
人によってはその物件に理論価格以上の価値を感じてくれるケースも多々ありますので、状況に合わせて交渉しながら良い条件を引き出すことが大切です。
複数の買い手候補から問い合わせがあった際には、必ず入札方式のような流れで条件を交渉しながら、最好の条件で売却するようにしましょう。
1-3. 引渡しフェーズにおける2つの注意点
土地売却で損をしない為の注意点 | |||
引渡し フェーズ | 10 | 重要度 ★★★☆☆ | 売買契約から決済・引渡しまでの期間はなるべく短くする |
11 | 重要度 ★★★☆☆ | 火災保険等の解約も引渡し日に合わせて忘れずに行う |
前項までのフェーズでしっかりと注意点を押さえていれば、土地売却で大きな損をすることはほとんどないといえます。
しかしながら、引渡しフェーズにおいても押さえておくべき注意点はありますので、以下に解説していきます。
注意点10|売買契約から決済・引渡しまでの期間はなるべく短くする
売買契約から決済・引渡しまでの期間は、売り主と買い主双方の事情を基に協議して決めるのが一般的ですが、特段の事情がないのであれば、なるべく短くしておいた方がお得です。
決済・引渡しまでの期間を短くすることで以下のようなメリットがあります。
- 売り主の状況変化等のよるキャンセルリスクが低減できる
- ローン保証金の解約返還額が多くなる(残債が残っている場合)
- 火災保険の解約返還額が多くなる(既存建物等に火災保険をかけている場合)
- 固定資産税・都市計画税の清算額が多くなる
それぞれ数日程度ではあまり効果は大きくありませんが、1ヶ月単位になれば全部で数万円〜数十万円といったそれなりの金額差になってきますので、なるべく早く決済・引渡しをした方が得策です。
注意点11|火災保険等の解約も引渡し日に合わせて忘れずに行う
火災保険は契約期間の途中で解約すると、未経過分の保険料が戻ってきます。
しかしながら、そのことを知らずに引渡し後も放置していたり、かなり時間が経ってから解約依頼をする人が意外と多いのが実情です。
金額自体はそこまで大きな額ではありませんが、きちんと引渡し日に合わせて事前に解約依頼を行い、最大限の返還金を受け取れるようにしておきましょう。
1-4. 納税フェーズにおける3つの注意点
土地売却で損をしない為の注意点 | |||
納税 フェーズ | 12 | 重要度 ★★★★★ | 税金の特例優遇条件に該当しないかどうかを確認してもらう |
13 | 重要度 ★★★★★ | 事前に税金額を計算し翌年の確定申告に備えてお金を残しておく | |
14 | 重要度 ★★★★★ | 譲渡損失が出た場合も必ず確定申告して他の所得と損益通算する |
土地売却で譲渡所得(税務計算上の利益)が発生した場合や、譲渡損失が発生した場合には、翌年の2~3月に確定申告をして納税や税金の還付を受ける必要があります。
土地売却時期が年末の方であれば、確定申告までの時間が比較的短いためまだよいのですが、年初に売却した場合には1年以上経ってからの手続きとなるため忘れないように注意が必要です。
以下、納税フェーズで重要な3つの注意点を解説していきます。
注意点12|税金の特例優遇条件に該当しないかどうかを確認してもらう
土地売却した後に以下の計算式で利益(譲渡所得)が出ている場合には翌年に確定申告をして「譲渡所得税・復興所得税・住民税」を支払うことになります。
「売却価格」−「取得費(不明の場合は売却価格の5%)」−「譲渡費用(仲介手数料・印紙税等)」−「特別控除(条件が当てはまる場合)」=『譲渡所得』
この譲渡所得の計算上で大切なのが「特別控除」の存在です。
自宅用地を売却した場合には3,000万円特別控除があり、他にも土地収用等でやむなく売却した場合の特別控除等、様々な種類の優遇特例が用意されているため、単純に得した金額に税金が掛かるわけではないということを覚えておきましょう。
その際、特別控除等の特例優遇を受けるには、それぞれ細かな条件を満たしている必要があります。特例優遇が受けられるかどうかで税額が大きく変わってきますので、必ず仲介業者等に相談して専門家に確認してもらうようにしましょう。
注意点13|事前に税金額を計算し翌年の確定申告に備えてお金を残しておく
先程の計算式で利益(譲渡所得)が出ている場合には、以下のタイミングで納税する義務がありますので、きちんと納税額を計算して残しておく必要があります。
- 「譲渡所得税、復興所得税」→ 売却の翌年の2~3月
- 「住民税」→ 売却の翌年度6月以降
税額の計算には専門的な知識が必要であるため、最終的には仲介業者に相談して専門家に確認してもらうのがベストですが、自分でもある程度の判断ができるように重要ポイントを以下にまとめておきます。
譲渡所得は、売却物件の所有期間に応じて以下のように分けられ、大きく税率が変わります。
- 「売却した年の1月1日において所有期間が5年超」=「長期譲渡所得」
- 「売却した年の1月1日において所有期間が5年以下」=「短期譲渡所得」
(注) 「所有期間」とは、土地や建物の取得の日から引き続き所有していた期間をいいます。この場合、相続や贈与により取得したものは、原則として、被相続人や贈与者の取得した日から計算することになっています。
「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に掛かる税金と税率はそれぞれ以下の通りです。
長期譲渡所得 | 短期譲渡所得 | |
譲渡所得税率 | 15% | 30% |
復興所得税率 | 所得税×2.1% | |
住民税率 | 5% | 9% |
合計 | 20.315% | 39.63% |
参考までに、「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」が発生した場合の各種税額の早見表を以下のまとめておきます。
長期譲渡(所有期間5年超)の場合の税額早見表 | ||||
譲渡所得額 | 所得税 | 住民税 | 復興税 | 税額合計 |
100万円 | 15万 | 5万 | 3,150円 | 20万3,150円 |
500万円 | 75万 | 25万 | 15,750円 | 101万5,750円 |
1,000万円 | 150万 | 50万 | 31,500円 | 203万1,500円 |
3,000万円 | 450万 | 150万 | 94,500円 | 609万4,500円 |
短期譲渡(所有期間5年以下)の場合の税額早見表 | ||||
譲渡所得額 | 所得税 | 住民税 | 復興税 | 税額合計 |
100万円 | 30万 | 9万 | 6,300円 | 39万6,300円 |
500万円 | 150万 | 45万 | 31,500円 | 198万1,500円 |
1,000万円 | 300万 | 90万 | 63,000円 | 396万3,000円 |
3,000万円 | 900万 | 270万 | 189,000円 | 1,188万9,000円 |
特に、所有期間5年以下の「短期譲渡所得」の場合には合計税率39.63%と多額の税金を納める必要があるため必ず事前に正確な税額を把握しておきましょう。
注意点14|譲渡損失が出た場合も必ず確定申告して他の所得と損益通算する
前項とは逆に、土地売却で「譲渡損失」が出た場合には、当然に税金は掛からず、確定申告も不要ですが、他に収入がある人で一定の条件を満たす場合には損益通算(損失額を他の所得からマイナス)して税金を減らすことができます。
そのため、「土地売却で譲渡損失が出た場合でも、翌年の確定申告はするべき」と覚えておきましょう。
特に、会社員等で給料から所得税が源泉徴収(天引き)されている人は、確定申告して損益通算することで税金が戻ってきますので、必ず忘れずに行いましょう。
2. 相場よりも高く土地売却する為の4つの秘訣
土地を高く売却するために最も大切なことは、同じような条件の競合物件よりも買い手から見た印象を良くすることです。
特に土地の購入者は、「価格・立地・広さ・環境」といった基本的な条件がマッチする複数の物件を比較検討し、最も気に入った物件に購入希望を出すという行動をとります。
そのため、相場よりも高く土地売却するためには、基本的な条件の良さをアピールするだけでは足りず、競合物件と比較された際の相対的な印象の良さを演出することが大切です。
その演出の方法として、最も効果的な秘訣としては、以下の4つが挙げられます。
相場よりも高く土地売却する為の4つの秘訣 | ||
1 | 重要度 ★★★★★ | 建築会社等に依頼して土地の活用参考プラン等を用意してもらう |
2 | 重要度 ★★★★★ | 買い主の現地確認前に不要な物は処分しておく |
3 | 重要度 ★★★★☆ | できるだけ土地が整地されている状態で見せる |
4 | 重要度 ★★★★☆ | 住んでみないとわからないようなプラス情報を整理して伝える |
一つ一つは小さなことですが、実は、これらが完璧になされている物件は意外と少なく、すべて完璧にしていればそれだけで大きな差がつきます。
以下、具体的に解説していきます。
2-1. 建築会社等に依頼して土地の活用参考プラン等を用意してもらう
(出展:ミサワホームHPより)
(出展:アイピーハウスHPより)
土地の買い手の目的は「自宅用」や「投資用」等、人によって様々ですが、基本的にはその土地に建物を建築することが前提となるケースがほとんどであるため、その土地にどのような建物が建築できるのかについてイメージできる資料があるのとないのとでは、相手に与える印象が大違いです。
戸建て住宅用地としての方が価値が高そうな土地であれば、戸建て住宅の参考プランを、賃貸住宅等の投資用地としての価値の方が高そうな土地であれば、賃貸住宅の参考プランと参考事業シミュレーション等の資料を、建築会社やハウスメーカー等に依頼して作成してもらっておくと売却が有利になります。
仲介業者によっては、代わりに作成や手配をしてくれる業者もありますが、稀ですので、『HOME4U土地活用』等の無料一括資料請求サービスでプラン作成を依頼するとよいでしょう。(『HOME4U土地活用』はNTTデータグループ会社が運営している最大手の一括資料請求サービスなので最も安心です。)
※建築会社やハウスメーカーへ依頼する場合には、あくまで「売るか建てるかを検討中なので検討用に資料作成してほしい」という旨で相談するようにしましょう。(単純に売却前提の参考プランだと対応してもらえない可能性があります)
2-2. 買い主の現地確認前に不要な物は処分しておく
(出展:むろグより)
当然のことではありますが、買い主の現地確認前には必ず現地を確認し、不法投棄等によるゴミが散らかっていないか等を確認することが大切です。
特に買い主が自宅用地として検討している場合には、少しでも敷地内にゴミが残っていると、「地域の治安等に問題があるのでは…」等とかなりのマイナスイメージになりかねません。
また、シーズンタイヤ等の私物でかさばる物の保管用に敷地を使っているようなケースもありますが、見た目の印象が悪くならないように綺麗に整えておくか、できれば移動させておく方がよいでしょう。
一人の購入検討者が現地確認をするタイミングは大抵1度だけしかありませんので、その際に良い印象を持ってもらうためにも、できるだけ不要な物は処分してマイナス点の可能性を排除するようにしましょう。
2-3. できるだけ土地が整地されている状態で見せる
『未整地の土地』
(出展:nifty不動産より)
『整地後の土地』
(出展:イエポタより)
前項と同様の理由からでもありますが、物件広告の写真や購入検討者に現地を見せる際には、できれば整地後の状態の土地であることが理想です。
整地後の土地の方が当然に印象が良いですし、上記の写真のように、整地の状態によって土地の利用の仕方や建物建築後の状態のイメージのし易さに大きな差が出てきます。
整地といっても、雑草を刈るだけで済むものから、多少土地の凸凹を平らにする必要があるもの等、様々ですが、土地売却のために万全を期すのであれば、現在の土地の状態に合わせて検討してみましょう。
土地の整地により売りやすくはなるものの、当然に費用が掛かかる上、売却価格を大きく吊り上げるような効果まではありませんので、実際に整地した方が良いかについては仲介業者とよく相談しながら決定することをおすすめします。
2-4. 住んでみないとわからないようなプラス情報を整理して伝える
現地確認のタイミングで購入検討者が確認したい項目は、実際の土地や周辺環境の印象については当然ながら、日当たりや風通し・騒音等の住んでみないとわからない情報も多く含まれます。
そのため、ただ土地を見せるだけではなく、住んでみないとわからないようなその物件プラス情報を事前に整理しておき、直接伝えてあげるだけでも印象が良くなります。
住んでみないとわからないうようなプラス情報の例
- 風通しが良く夏場夜はクーラーいらずで電気代が安い
- 閑静な土地柄で交通騒音等は全く聞こえない
- 土地の近隣住人は非常に礼儀正しくて良い人ばかり…等
土地や周辺環境の印象だけでなく、住んだ後の生活のイメージも良く伝われば強力な差別化になります。
3. まとめ
いかがでしたでしょうか。
「土地売却の注意点」や「賢く売却する方法」についての疑問や悩みが解消できたのではないでしょうか。
土地売却は、一見難しそうで、金額も大きな取引である為、プロに任せっきりで自分では何もわからないという人も多いですが、実は押さえるべきポイントも限定的で決して難しいものではありません。
本ページでは「土地売却の注意点」と「賢く売却して利益を最大化するための方法」について、重要なポイントは出来る限り網羅的にご紹介してきましたので、上記の内容をしっかりと理解した上で、後悔しない上手な売却を検討してみて下さい。
〈本ページでご紹介したサービス・業者〉
※売却検討にあたっては、同時に「貸した場合の収益性」も検討すべきです。
- 資産価値が落ちにくい都市部等にある
- 年間賃料が売却査定額の5%以上(表面利回り5%以上)で貸せる
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