土地活用でコンビニを選ぶべき人と失敗しないための全知識
所有する土地でコンビニ土地活用を考えているけど、「本当にコンビニでよいのか?」「事業性はどうなのか?」「具体的にどのように検討を進めればよいのか?」など、悩んだり迷ったりしていませんか?
コンビニ土地活用は住居系の土地活用と比較して収益性が高く、一見魅力的な土地活用ですが、一口にコンビニ土地活用といっても実は様々な形態が存在し、きちんと事前にエリアに合わせたコンビニ業者の選定や契約内容の詰めを行っていないと、「はじめてから思っていた以上に賃料を下げられた」「契約期間の途中なのに途中解約されてしまった」なんてことにもなりかねません。
実際、契約当初はよかったが、数年後に近くに競合のコンビニがオープンして売り上げが落ちてしまったために契約条件を見直すというのは商業系の施設ではよくある話です。
このページでは、これまで土地活用のコンサルティングを業務として300人以上の土地オーナーの最適な土地活用について支援をしてきた私が、比較的初期投資が少なく収益性の高い「コンビニ土地活用」について、向いている人と成功する為のポイントを以下の流れに沿ってご紹介します。
- コンビニ土地活用とは|2つの種類別にスッキリ解説
- コンビニ土地活用のメリット・デメリット
- コンビニ土地活用に向いている人
- あなたの土地でコンビニ土地活用をはじめるための4ステップ
- 絶対にしてはいけないコンビニ土地活用で失敗する3つのポイント
このページをすべて読めば、コンビニ土地活用をしたいと思っている人はもちろん、土地活用でどうすればよいか困っている人も、自信を持って第一歩を踏み出していただけるでしょう。
土地活用が初めてで難しく感じる方は、このページを読んで大枠のイメージを持ったら、まずは複数の専門家に意見を聞くことをおすすめします。
その際に大事な注意点があり、建築会社や不動産会社等に直接電話をすることは絶対にやめましょう。なぜなら、この業界では電話をとった人が担当になるという慣習があるため、土地活用の専門家ではないレベルの低い担当がついてしまう・・・ということになりかねません。
確実に複数業者の専門担当者と連絡を取りたい方は、NTTが運営する「HOME4U土地活用」などの信頼できる一括登録サイトを利用して、専門担当者からの連絡を待つことをおすすめします。
- 「HOME4U土地活用」公式ページ: https://www.home4u.co.jp/
目次
1. コンビニ土地活用とは|2つの種類別にスッキリ解説
コンビニ土地活用とは、駅前の商業エリアや幹線道路沿いのロードサイド等のコンビニ需要があるエリアにおいて、コンビニ業者と共同でコンビニ店舗を出店する形式の土地活用です。
コンビニ土地活用は大きく分けて、以下の2種類があります。
- リースバック方式:コンビニ店舗の建物を土地オーナーが建築しコンビニ業者へ賃貸する方式
- 事業用定期借地方式:コンビニ業者へ土地を定期借地するだけの方式
また、リースバック方式では、店舗の内装(レジや冷蔵庫・棚等の営業用設備)はコンビニ業者が用意するのが一般的ですが、業者や契約条件によっては内装までオーナーが用意する場合もあります。
さらに、リースバック方式の場合、土地オーナーが建物を建築する際の資金調達手法として、預貯金や金融機関からの借入等の自ら調達する方法の他に、コンビニ業者が建築費相当分の資金を無利息で貸し付ける「建設協力金(保証金)」という方法で建築する場合もあります。
1-1. リースバック方式と事業用定期借地方式の違い
土地オーナーにとってのリースバック方式と事業用定期借地方式の最大の違いは、「初期投資が掛かるか掛からないか」ということと「相続税の評価額への影響」という2つのポイントが挙げられます。
当然、建物を土地オーナーが用意するリースバック方式の方がコンビニ業者から支払われる賃料は高くなりますが、建物建築費の返済や賃料下落・中途解約時のリスク等を考慮すれば賃料の差に大きな優位性は出にくく、相対的に事業用定期借地方式の方が有利な場合が多いです。
リースバック方式か事業用定期借地方式かでオーナーのリスクは変わってきますので、慎重に検討するべきポイントですが、反対にコンビニ業者にっとっても影響の大きなポイントですので、一方的に選べるわけではなく交渉により決定していくことになります。
初期投資が掛かるか掛からないか
事業用定期借地方式の場合は、土地オーナーは土地を貸すだけですので、当然初期費用は掛かりませんが、リースバック方式の場合には建物の建築費が初期投資として必要になってきます。
コンビニ業者側からすると、建物を自社で建築し所有するとなると、会計上「資産」となり減価償却費を経費計上する必要が出てくるため、あまり建物を所有したがらず、リースバック方式で出店することを好む傾向があります。
そのため、建設協力金(保証金)を出して土地オーナーに建物まで用意してもらえるようにしているケースも多くあります。建設協力金には返還義務があり、建設協力金で建築した場合には、毎月の賃料から契約期間で割り出された金額を返還することになりますので「無利息の融資」と考えるとよいでしょう。
相続税の評価額への影響
リースバック方式か事業用定期借地方式かでは、相続税を算定する際の評価額に大きな差が出てきます。どちらが有利かはケースバイケースですので一概にはいえませんが、それぞれの特徴を踏まえた上で検討するようにしょう。
<リースバック方式の場合>
リースバック方式の場合は、土地も建物もオーナー名義になるため、建物の評価額も相続財産として評価額に算入されます。その際、建物は建築した時点で中古となるため、実際に掛った建築費よりも安く評価される(概ね60~70%程度)ことになり、その差額分の相続税が節税効果として期待できます。
土地についての優遇は特にありませんので、土地の評価額が低いエリアや建物が大きく建築費が高くなる程、節税額も大きくなり、有利といえます。
※よく「借金をしないと節税効果がない」と勘違いをされている方がいらっしゃいますが、建物を建てた際の節税効果は上記の通り建築費と評価額に差額が発生することで生まれるものですので、借金でも自己資金でもはたまた建設協力金でも効果は同じです。
<事業用定期借地方式の場合>
事業用定期借地方式の場合は、オーナーは土地に事業用定期借地権を設定してコンビニ業者へ定期借地するだけですので、相続財産は「事業用定期借地権の対象となっている土地のみ」ということになります。
この場合、リースバック方式の時のような建物の評価額絡みの節税効果等はありませんが、「事業用定期借地権の対象となっている土地」ということで土地の評価額が減額される優遇があります。こちらは、事業用定期借地権の残存期間に応じて以下の表の通りの割合で土地の評価額が減額されます。
以上のことから、都市部の土地や駅前の土地等で、土地の評価額が高いエリアでは事業用定期借地方式が有利といえます。
相続税法には他にも「小規模宅地等の特例」等の様々な税額軽減特例がありますので、全体資産の中で「どの資産にどの特例が適用できるのか」等の検討を行わないと最終的な有利不利は一概にはいえません。
相続税法は細かな様々な制度が多く難解な上、毎年内容変更の可能性もありますので、相続税上の有利不利を判断する際には必ず専門の税理士に相談するようにしましょう。
2. コンビニ土地活用のメリット・デメリット
土地活用には、大きく分けて下図のような4つのタイプと17種類の活用方法があります。
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種類 | 土地対応性 | 投資額 | 収益性 | 安定性 | 節税効果 | 手軽さ | 転用性 | 流動性 | 資産保全性 | 社会貢献性 | ||
売る | 売却 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | × | ◎ | × | ◎ | × | × | |
貸す | 定期借地 | △ | ◎ | × | ◯ | ◯ | ◎ | × | × | △ | × | |
自己活用 | 駐車場経営 | ◎ | ◯ | × | △ | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | |
賃貸住宅経営 | 賃貸アパート経営 | ◯ | △ | △ | ◯ | ◎ | ◯ | × | ◯ | ◎ | △ | |
賃貸マンション経営 | ◯ | × | ◯ | ◯ | ◎ | ◯ | × | ◯ | ◎ | △ | ||
トランクルーム経営 | △ | ◯ | ◯ | △ | × | ◯ | △ | ◯ | ◎ | △ | ||
ソーラー(太陽光発電) | ◯ | ◯ | × | ◎ | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ | △ | ||
オフィス経営 | × | × | ◎ | △ | × | × | × | ◯ | ◎ | △ | ||
商業系施設経営 | コンビニ | × | △ | ◎ | △ | × | △ | × | △ | ◎ | ◯ | |
ロードサイド | × | △ | ◎ | △ | × | △ | × | △ | ◎ | ◯ | ||
医療系施設経営 | クリニック | × | × | ◯ | △ | × | × | × | △ | ◎ | ◎ | |
介護系施設経営 | 老人ホーム | × | × | ◎ | ◯ | ◎ | × | × | △ | ◎ | ◎ | |
サ高住 | × | × | ◯ | ◯ | ◎ | △ | × | ◯ | ◎ | ◎ | ||
デイサービス・ショートステイ・小規模多機能 | × | △ | ◯ | ◯ | × | △ | × | △ | ◎ | ◎ | ||
グループホーム | × | × | ◯ | ◯ | × | × | × | △ | ◎ | ◎ | ||
共同活用 | 等価交換 | × | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | ◯ | ◯ | × | |
土地信託 | × | ◎ | △ | △ | ◯ | △ | × | × | △ | × |
中でもコンビニ土地活用はその他の土地活用と比較して収益性が高いイメージがありますが、都市計画法上の用途制限等の法規制や各行政庁による指導、商圏内の需要等の諸条件を満たすエリアでなければ行うことができないため、誰でもできるわけではなく選ばれし人の特権ともいえます。
実際、コンビニ土地活用の最大のメリットは収益性が高さといえますが、あくまでコンビニの経営状況に左右されますので、見込み売上によって契約条件が変わってきたり、途中解約が発生したりする可能性もあり、安定性の面では住居系の土地活用と比較して低いといえます。
そのため、コンビニでの土地活用を検討する際には、メリット・デメリットをしっかりと理解した上で、他の土地活用とも条件を比較しながら自身の土地活用の目的に合わせて判断を行うことが大切です。
コンビニ土地活用の主なメリット・デメリットは以下の通りです。
2-1. メリット
- 収益性が高い
- 比較的初期投資が少なくてすむ(定期借地方式の場合には自己資金0円ではじめられる)
- 周辺住人の利便性向上に貢献できる
コンビニ土地活用のメリットは、なんといっても投資額の割に収益性が高く高利回りが期待できることです。
当然、エリアの需要にもよりますが、高いところでは住居系と比較して同じ大きさのスペースでも1.5~2倍程度の賃料収入が得られることもあります。
また、最近のコンビニは単なる物販だけでなく、公共料金の支払いや郵送代行・ATM・クリーニング受取サービス等の多様なサービスを行っており地域から非常に重宝される利便施設であるため、他に利便施設が少ないエリアでは周辺住人から喜ばれるという嬉しい側面もあります。
2-2. デメリット
- 限られたエリアの土地でしかできない
- コンビニの経営状況に左右される
- 住居系の土地活用と比較して節税効果が薄い
コンビニ土地活用のデメリットは、前述のとおり、都市計画法の用途制限や各行政庁による指導、商圏内の需要といったマーケット面での事実上の制約を受けることから、「対応可能なエリアがかなり限定されてしまう」ということと、はじめた後でも競合店の出店等で売上が落ちた結果、契約条件にも影響が出てくる等の「マーケット面での影響を受ける」ことが最も大きな要素です。
そのため、リスクとリターンのバランスをしっかりと検討した上で、活用の判断を行うことが大切です。
また、土地は保有しているだけで毎年固定資産税や都市計画税が掛かり、資産としての評価も高額になるケースが多く相続の際の相続税も気にする必要がありますが、コンビニを含めた商業系の建物を建てた場合は、賃貸住宅等の人の住まいを建築する場合にあるような税金の優遇が全く受けられません。
一例として、住宅用地の場合には固定資産税が最大で6分の1まで軽減されるため、特に土地の評価が高いエリアほど税金面だけでも収益性に大きな差となるケースもあります。
コンビニ土地活用の中には、事業用定期借地権を設定して土地をコンビニ事業者へ貸すだけといった方式もありますが、その場合でも、定期借地権の対象地として相続税上の優遇は受けられるものの、毎年かかる固定資産税・都市計画税の優遇は受けられません。
コンビニ土地活用ができるような幹線道路沿いの土地は、比較的評価額が高くなる傾向がありますので、必ず税金面も考慮した事業検討をしましょう。
3. コンビニ土地活用に向いている人
前述のとおり、コンビニ土地活用は場所を選ぶため誰にでもできるわけではありませんが、特に以下の4つのタイプの人にとっては最適な土地活用といえます。
- 収益性を重視する人
- 幹線道路沿いに土地を所有している人
- 人通りの多い道路に接道した土地を所有している人
- 周辺に生活利便施設が少なく、地域の利便性向上に貢献したい人
3-1. 収益性を重視する人
- 代々残してく土地なので、土地活用の中でも最大限高利回りな活用がしたい
- 他に賃貸住宅等の低リスクな不動産は所有しているので、収益性重視で土地活用を検討したい
コンビニ土地活用の最大のメリットは収益性の高さであり、他の土地活用と比較しても非常に高利回りな土地活用が可能です。そのため、土地活用の目的として、多少リスクを取ってでも収益性を最も重視するという人にとっては最適な土地活用といえます。
3-2. 幹線道路沿いに土地を所有している人
- 幹線道路沿いの土地を活用したいが、どんな土地活用がよいかわからない
- 幹線道路沿いという特徴(メリット)を最大限活かした土地活用がしたい
幹線道路沿いの土地では、交通騒音や交通振動等の問題から住居系の土地活用では入居者から敬遠されがちな傾向がありますが、逆にコンビニであれば交通量が多いほど適しています。
幹線道路沿いに土地を所有している人はまずはコンビニ土地活用の可能性を検討することをおすすめします。
3-3. 人通りの多い道路に接道した土地を所有している人
- 駅前や商店街等のにぎやかな場所で、高収益な土地活用がしたい
- 住宅街から駅までの通り道にある土地なので、人通りの多さを活かした土地活用がしたい
幹線道路沿いの土地同様、人通りの多い土地の1階部分は防犯面やプライバシー面で住居系の建物では敬遠されますので、コンビニの可能性を検討すべきです。
人通りが多いということは商業系と住居系両方の需要がある可能性が高いため、平屋でコンビニのみを建築してもよいですし、2階部分以上に賃貸住宅を併設したマンション形式での活用を検討するのもよいでしょう。
3-4. 周辺に生活利便施設が少なく、地域の利便性向上に貢献したい人
- 住宅の多いエリアだが、10分以上掛る駅まで行かないと何もない地域なので、地域住民が喜ぶ土地活用がしたい
- 農家が多く、高齢化も進んできている地域なので、自分の土地を活用して地域のためになるようなことがしたい
コンビニというと、まず最初に収益性が思い浮かびそうですが、前述の通り、今やコンビニでは様々なインフラ的サービスが利用できますので、生活利便施設が少ない地域では地域の利便性向上にも大きく貢献できます。
同時に収益性も求められますので、上記のような地域貢献志向の高い方には非常に検討価値の高い土地活用といえます。
4. あなたの土地でコンビニ土地活用をはじめるための4ステップ
コンビニ土地活用のできるできないの判断は実は簡単で、下記の3ステッップに従うだけで誰でも行う事ができます。
最終的には業者にマーケティングや提案をしてもらうことになるため、自分で色々と調べるのが面倒だという方は全てを業者に丸投げし、いきなりステップ③に進んで頂いても問題ありませんが、後々後悔しないためにも、自分できちんと内容を理解した上で最終的な判断ができるよう各ステップを確認することをおすすめします。
- ステップ①|自分の土地で法規上コンビニ建築が可能かを調べる
- ステップ②|商圏内にコンビニ需要があるかどうかを調べる
- ステップ③|条件を比較しながらコンビニ業者を決める
- ステップ④|条件を比較しながら建築業者を決める
4-1. ステップ①|自分の土地で法規上コンビニ建築が可能かを調べる
土地は法律や行政指導等によって様々な規制を受けるため、たとえ自分の土地であっても好き勝手に建物を建築することはできません。
そのため、コンビニ土地活用を検討する前に、まずはそもそも自分の土地で法規上コンビニ建築が可能かを調べる必要があります。
その際に重要になるのが「都市計画法」という法律です。
都市計画法では、行政庁が立てた“これから街を整備していくにあたり、どのエリアにどのような建物を整備していくか”という「都市計画」を実現するために、優先的に市街化すべき「市街化区域」と反対に市街化を抑制すべき「市街化調整区域」を定めたり、エリア毎に建築可能な建築物の種類を制限する「用途地域」等が定められています。
従って、自分の土地がどのような地域に位置しており、どんな建物が建築可能なのかをを役所で調べるようにしましょう。
参考
役所によって名称は異なりますが、大概「都市計画課」という名称の部署があり、そこで聞くと直ぐに教えてもらえます。
役所によっては電話で対応してもらえるところも多いですし、ネットで「都市計画図」を公開している行政もありますので、直接役所に電話して「自分の土地でコンビニ建築は可能か?」と聞いてしまうのが最も簡単で早い方法です。
自分でチェックする場合のチェックポイントは以下の通りです。
- 都市計画区域内の土地か否か?
- 都市計画区域内の土地の場合、市街化区域内の土地か否か?
- 市街化区域内の土地の場合、用途地域は何か?
1.2.で「否」の人は、そもそも建築が可能かどうかは行政毎により異なりますので、必ず役所に確認する必要があります。
3.の市街化区域内の土地の場合には、用途地域を確認することで法規上のコンビニ建築の可否を判断することができます。その際の早見表を以下にまとめております。
※▲第一種低層住宅専用地域:店舗兼住宅なら可。▲田園住居地域:農産物直売所や農業レストランなら可
注:一般的なコンビニ店舗は概ね80坪(約264㎡)~100坪(約330㎡)程度の大きさの建物が必要ですが、都市部では立地の良い場所で売上が見込めるようであれば45坪(約150㎡)程度の大きさでも出店してもらえるケースもあります。
4-2. ステップ②|商圏内にコンビニ需要があるかどうかを調べる
「日常的に消費者の来店が見込める地理的範囲」のことを「商圏」と呼び、「商圏内に分布している消費者の数」を「商圏人口」と呼びます。
商業施設の出店を検討する際には、この商圏の広さと商圏人口の多さが非常に重要になりますが、コンビニはその数の多さ故にスーパー等と比較すると比較的商圏が狭い傾向があります。
また、幹線道路沿いのロードサイドや駅前に建てる場合等と、住宅地の近くに建てる場合等とでは、たまたま通りかかった人(流動的消費者)をターゲットにするのか、近隣住人(固定的消費者)をターゲットにするのかが異なってきます。
そのため、実際には立地に合わせて様々な要素を考慮して需要を判断する必要があり、最終的な需要の判断は各コンビニ業者にマーケティングを依頼しないとわかりませんが、商圏人口を推定するだけでもある程度の需要(出店可能性)を予測することはできます。
<コンビニ需要の簡易調査方法>
以下の3つの手順を踏むだけで、誰でも簡単にコンビニ需要を簡易調査することができます。
- 自分の土地における商圏人口を調べる
- 商圏内の既存コンビニ店舗を調べる
- コンビニ一店舗あたり3000人以上の商圏人口が確保できるかを確認する
「自分の土地における商圏人口を調べる」
コンビニの一般的な商圏の目安は、駐車場がある場合は車で5〜10分程度(約2.5〜5km程度)、なければ自転車で5〜10分程度(約1.25〜2.5km程度)、通常は徒歩で5〜10分程度(約0.4〜0.8km程度)といわれております。
そのため、①徒歩商圏内(0.8km程度)の商圏人口、②自転車商圏内(2.5km程度)の商圏人口、③自動車商圏内(5km程度)の商圏人口、の3段階で調査するとよいです。
人口調査は、各行政毎に市区町村単位で細かく人口を公表しているケースが多いので、各行政庁のHP等でも調べられますが、下記のサイトを活用すると比較的簡単に調べられます。
◆人口統計ラボ(http://toukei-labo.com)
※自分の土地の住所を検索し、商圏内にある隣接する町の人口を足していくだけです。
「商圏内の既存コンビニ店舗を調べる」
こちらはGoogleマップを活用することで簡単に検索できます。
※検索欄に「“自分の土地の住所” コンビニ」と入力するだけです。
◆Googleマップ(https://www.google.co.jp/maps)
「コンビニ一店舗あたり3000人以上の商圏人口が確保できているか確認する」
あくまでざっくりとした目安にはなりますが、コンビニ店舗が十分な売上を見込めるかどうかの簡易的な判断目安として、「コンビニ一店舗あたり3000人以上の商圏人口が確保できるか」という目安がありあす。
従って、先程調べた徒歩・自転車・自動車商圏の各商圏人口を、各商圏内に存在する既存コンビニ店舗数に自分が建てた場合の「1」を足した数字で割った数(=コンビニ一店舗あたりの商圏人口)が3000以上あるかを確認することで、簡易的な判断が可能です。
一例として、
- 徒歩商圏 (半径0.8km):人口4000人、 既存コンビニ1店舗 ⇒ 4000÷2=2000 ×
- 自転車商圏(半径2.5km):人口12000人、既存コンビニ2店舗 ⇒ 12000÷3=4000 〇
- 自動車商圏(半径5.0km):人口21000人、既存コンビニ6店舗 ⇒ 21000÷7=3000 〇
上記の場合、徒歩商圏だけで考えると十分な商圏人口は確保できませんが、自転車商圏や自動車商圏まで見込むとなんとか商圏人口は確保できそうだというように考えることが出来ます。
しかしながら、エリアや場所にもよりますが、コンビニは店舗数が多いことから徒歩来場が最も多い(都市部では7割以上といわれている)ため、徒歩商圏内の商圏人口が最も重要視される傾向があります。
自転車商圏や自動車商圏の需要を見込んだ場合、その消費者の徒歩圏内に新たなコンビニ店舗ができた際に顧客を奪われてしまうリスクが高くなってしまうため注意が必要です。
コンビニ業者によるマーケティングでは商圏人口だけでなく、遠方からの視認性や道路からの進入のし易さ等の立地面や、年齢別人口、客単価等様々な観点から検討されますので、最終的にはコンビニ業者による出店可否の判断が行われますが、オーナーとしても最低限の知識として抑えておくとよいでしょう。
4-3. ステップ③|条件を比較しながらコンビニ業者を決める
コンビニ業者は大手から地場まで様々な業者が存在し、エリアや経営方式よって対応可能な業者が変わってきますので、どの業者が良いとは一概には言い切れません。
前述の通り、リースバック方式か事業用定期借地方式かによっても対応可能な業者は異なりますし、同じ経営方式であっても業者によりマーケティング結果が異なることから賃料や契約期間、その他細かな契約条件等が少なからず違ってきます。
そのため、自分のニーズに合った経営方式を選ぶだけでなく、同じ経営方式の中でも複数の業者から提案をもらい、マーケティングや契約条件の妥当性について比較検証するべきです。
コンビニ業者には店舗開発部門があり、HP等でも問い合わせを受け付けておりますので、直接問い合わせると出店可否の調査をしてもらえます。
以下に代表的なコンビニ業者と各業者の店舗数についてまとめております。
コンビニ名 | 店舗数(国内) | |
10,000店以上 | セブンイレブン | 21,248 |
ファミリーマート | 16,047 | |
ローソン | 13,779 | |
1,000店以上 | ミニストップ | 1,814 |
セイコーマート | 1,173 | |
デイリーヤマザキ | 952 | |
※2024年1月時点店舗数 |
コンビニ業者を選ぶ際に押さえておくべき3つのポイント
コンビニ業者を選ぶ際に押さえておくべきポイントは以下の3つです。
- コンビニ業者自体の将来性(競争力)
- 契約期間の長さと中途解約ペナルティ条項
- 当初設定賃料の根拠と賃料改定時期及びその基準
「コンビニ業者自体の将来性(競争力)」
コンビニ土地活用の賃料はあくまでコンビニの売上に依存しています。従って売上が高い店舗ほど高い賃料設定が可能であり、競争力の高い店舗ほど将来に渡り安定的な賃料が期待できることになります。
そのため、コンビニ業者を選ぶことは事業パートナーを選ぶことでもあり、コンビニ業者自体の将来性(競争力)は土地オーナーにとって最も重視すべきポイントといえます。
コンビニ業者の将来性の判断は、各企業の経営状態を見極めることと等しいため、非常に難しい問題であり絶対的な正解はありませんが、「全体的な店舗数シェアとエリア毎の店舗数シェア」を比較するだけでも、判断の一助として非常に役に立ちます。
ほとんどの地域で以下の大手3社のシェアが多いですが、北海道のセイコーマートのように、群馬・新潟のセーブオン、鳥取・島根のポプラ、沖縄のココストア等、地域限定で非常に強いコンビニ業者もあります。
- セブンイレブン
- ファミリーマート
- ローソン
コンビニ業者は地域によっても強い弱いがありますので、自分の地域で強い業者を選ぶことで将来的な競合店舗出現による売上減少リスクを緩和するようにすることが重要です。
注:
前述のとおり、コンビニが採算をとるためには一店舗あたり最低でも2000〜3000人程度の商圏人口が必要といわれておりますので、「そもそも3000人程度しか人口がいない集落地」等では一店舗出店した時点で飽和状態となるため、将来に渡り他業者との競合リスクの少ない地域もあります。
そのような地域でコンビニ業者を選ぶ際には、むしろ条件面を優先して選ぶべきでしょう。
「契約期間の長さと中途解約ペナルティ条項」
コンビニ業者との契約の中で最も注目すべきポイントは「契約期間の長さと中途解約ペナルティ」です。
エリアや業者によっても異なるため一概にはいえませんが、当初の契約期間は概ね10~20年(都市部の方が比較的長い傾向がある)が多く、当初契約期間満了後は1~2年毎の更新制というのが一般的です。
当然、土地に建物を建築する以上、当初契約期間や更新後契約期間は長い方がオーナーにとって有利といえますが、賃料とのバランスが大切になりますので、総合的に判断するようにしましょう。
また、リースバック方式の場合には、当初契約期間中の途中解約に対して、「建物建築費の残債額や減価償却後の帳簿価格に相当する金額の支払いを要求できる」というような中途解約ペナルティ条項を設けオーナーのリスクをヘッジする場合が多いのですが、この中途解約ペナルティ条項があるかどうかはオーナーのリスク観点で最も重要です。
中途解約ペナルティ条項がない場合には、コンビニ業者は特に大きなリスクを背負わないため出店に際するハードルは大きく下がりますが、逆にいうといつでもて撤退できてしまうため、オーナーにとっては非常に不安定な土地活用になってしまいます。
もしもコンビニ業者に撤退されてしまった場合には、別のテナントを探す必要が出てきますが、「そもそもテナントが見つかるか」という問題や「見つかったとしてもコンビニ用に建てた建物をコンビニ以上の賃料を払って借りてくれるテナントはほとんどない」という問題があるため、オーナーにとっては非常にマイナスな状態を招いてしまいます。
そのため、リースバック方式の場合には必ず中途解約ペナルティ条項を設けるようにしましょう。
注:
建設協力金で建築する場合でも、オーナーには建設協力金の返済義務がありますので、中途解約ペナルティ条項は必要です。
事業用定期借地方式の場合には、建物はコンビニ業者が建築する上に、借地借家法の規定上「更地返還」が原則になっている為、中途解約に対するペナルティ等は設定されないのが一般的です。
「当初設定賃料の根拠と賃料改定時期及びその基準」
出店条件を提示するにあたり、各コンビニ業者は独自のマーケティング調査を行い、その結果に基づく売上予測から賃料を算出したり賃料改定時期等の細かな条件を設定することになりますが、全てが店舗の売上に依存している以上、「各業者がどの程度の売上を見込んでいるか」はオーナーにとっても非常に重要なポイントになります。
当然、予測である以上どの業者が正解であるというような判断はできませんし、商品ラインアップの違いによる売上差もでてくるため単純比較はできませんが、各社の平均を基準にする等しながら高すぎたり低すぎたりしないかを見極めることをおすすめします。
特に高すぎる場合には、実際に営業すると売上が低く、直ぐに賃料の引き下げを要求されたり、早期撤退のリスクが高まるため要注意です。
また、賃料改定時期は1~2年毎に見直しのタイミングを設けることが一般的ですが、最初の交渉次第では当初の数年間固定してもらえるケースも多くあります。
(当然場所によって異なりますが、私の経験の中で、東京都内の駅前一等地で「当初20年契約で20年間賃料固定」という破格の条件を出してもらえたケースもありました。)
この場合でも、賃料の額とのバランスが大切ですので、「固定期間は長いがそもそもの賃料が低い」というようなことにならないよう、複数の業者を比較しながら総合的に判断することが大切です。
さらに、賃料改定を行う際の基準についてもできる限り確認し、比較検討要素に加えると共に契約書へ明文化してもらうように交渉しましょう。
注:
業者によっては出店条件のみしか提示して貰えず、売上予測等の賃料設定の根拠や賃料改定時の基準等の詳細を教えてもらえない場合も多いです。
そのような場合でも、オーナーとして安心したいという目的で、賃料引き下げリスクや中途解約リスクについての説明を出来る限り詳しくしてもらうよう要求するべきです。
4-4. ステップ④|条件を比較しながら建築業者を決める
コンビニ業者は建物の建築はしてくれませんので、建築については自分で最適な条件の建築業者を見つける必要があります。
もちろん、コンビニ業者によっては付き合いのある建築業者を紹介してくれる場合もありますが、その業者が最適な条件の業者であるとは限りません。そのため、できる限り多くの業者を比較し、最適な条件の業者を選らぶことが得策です。
建築業者を選ぶ際に押さえておくべき2つの注意点
建築業者を選ぶ際には、必ず以下の2つの注意点を守るようにしましょう。
- 土地活用専門の担当者(部署)に依頼する
- 複数の業者を比較した上で条件交渉する
規模の大きなハウスメーカー等では、戸建住宅をメインに扱う担当者・部署と土地活用をメインに扱う担当者・部署の大きく2種類が存在しますが、当然のことながら土地活用については土地活用をメインに扱う担当に依頼するべきです。
しかしながら、基本的に建築会社では最初にコンタクトを取った営業マンが担当となるケースが多いため、中には戸建住宅メインの担当が土地活用の提案を行うということも多くあり得ます。そのため、より良い提案をしてもらうためにも、むやみに住宅展示場等の営業マンに相談するのではなく、土地活用を専門に扱う部署へ直接問い合わせることをおすすめします。
また、当然のことながら、同じ土地であっても業者や担当者によって提案内容や条件に大きな差が出てきます。プランや構造等、無限に提案の余地のある土地活用において、すべての可能性を検討するのは不可能ですが、後悔することのないように可能な限り少しでも多くの業者を比較検討した上で、しっかりと条件交渉するようにしましょう。
上記2点を踏まえて、最も簡単で便利な方法として一括資料請求サービスの活用がおすすめです。
一括資料請求サービスを活用するメリット
一括資料請求サービスを活用すると、相談者の「住所」や「建築地」「相談内容」などをもとに最適な専門部署に繋いでもらえます。
また、一度に複数社にまとめて依頼できるので、手間を掛けずに多くの業者を比較することができます。
土地活用の一括資料請求サービスを行っている会社は10社以上ありますが、私が対応エリアや対応種類、参加企業・実績等の観点で、いろいろと比較した上で、総合的に最もおすすめなサイトは大手NTTデータグループ会社が運営していて信頼性抜群の「HOME4U土地活用」です。
まずはこのサイトから一括資料請求して情報収集した後に、気になる業者に本格的に相談するとよいでしょう。
HOME4Uには、不動産売却など土地活用以外にも色々なサービスがありますので、下記の土地活用専用の公式ページから一括請求するとよいです。
HOME4U(ホームフォーユー)土地活用:https://land.home4u.jp
5. 絶対にしてはいけないコンビニ土地活用で失敗する3つのポイント
これまでのお話の中でご紹介してきた内容も含まれますが、今一度、絶対にやってはいけないコンビニ土地活用で失敗する3つのポイントとして、必ず押さえておきたいポイントを下記にまとめておきます。
5-1. 条件だけでコンビニ業者を決めた結果、近隣で人気コンビニ業者に出店され淘汰される
安易に業者選定をした結果、将来的に苦労をするという上記のような事例は、コンビニ土地活の中で最も多い失敗事例です。
コンビニ経営について知識のない一般人からすると、何をどう比較検討してよいかが分からず、つい賃料等の分かりやすい条件に飛びついてしまいがちですが、「将来に渡って長期的に自分の資産を預ける経営パートナーとして十分に魅力的な相手かどうか」という目線で、業者自体の将来性やエリアにおける競争力をまず第一に考えるようにしましょう。
5-2. 20年等の長期契約を結んだ為、長期収入をあてにしていたが中途解約され収入がなくなる
あくまで店舗経営である以上、経営難に陥れば撤退するのが経営の合理的な判断であり、中途解約はコンビニ土地活用の最大のデメリットともいえます。
その分、収益性も高く高利回りな土地活用であるため、短期的な視点で計画的に収益の使い方を考えていれば、仮に中途解約されたとしても大きな問題に悩むことなく次の活用を検討することが可能です。
たとえ長期契約であったとしても、短期的な視点で事業計画や収支計画を考えるようにしましょう。
5-3. 建築ローンを組まなかったので、契約で中途解約ペナルティー条項を設けなかったために、中途解約リスクが高まってしまう
上記の事例のように、当初はとても有利な立地であっても、年月が経過に伴って将来的に周辺環境が変化する可能性があるというのも不動産全般にいえる特徴で、そのなかでも、商業系のコンビニは特に影響を受けやすい土地活用といえます。
行政の都市計画を確認することで、ある程度は事前に大きな環境変化の可能性を知ることはできますが、たとえ大きなリスクを感じない場合であったとしても、必ず中途解約ペナルティ条項は設定するようにしましょう。
6. まとめ
いかがでしたでしょうか。
自分の土地の条件や土地活用の目的と照らして、コンビニ土地活用が向いていると思った人、向いていないと思った人、等様々だと思いますが、コンビニ土地活用は数ある土地活用の中でも比較的初期投資も低く抑えられて高収益が狙える、最も高利回りな土地活用の一つです。
本サイトではコンビニ土地活用に関わる重要なポイントは出来る限り網羅的にご紹介してきましたので、上記の内容をしっかりと理解した上で行えば、きっと後悔しないコンビニ土地活用ができるでしょう。
ご自身のニーズに合わせて、リースバック方式や事業用定期借地方式等、最適なコンビニ土地活用を比較検討してみて下さい。
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