(当サイトは一部プロモーションが含まれます)
相続

失敗しない遺言書の書き方|豊富なテンプレートでトラブル・無効化を防げる!

「遺言書は書くべき?」「どうやって遺言書を書けば良い?」と、遺言書の書き方について気になっていませんか?

遺言書は書き方を間違えると無効になってしまうので、遺言書のことを詳しく調べ、細心の注意を払って書くことをおすすめします。

このページでは、終活支援に500件以上携わってきた私が、遺言書の書き方について下記の流れで分かりやすく紹介します。

  1. 遺言書を書くための事前準備
  2. 遺言書の種類と選び方
  3. 自筆証書遺言の書き方
  4. 公正証書遺言の選び方
  5. 秘密証書遺言の書き方
  6. 遺言書に関するQ&A

このページを読めば、遺言書をどうやって作成するのか分かるので、ぜひご覧ください。

目次

1. 遺言書を書くための5つの事前準備

遺言書を書く前に、次の準備をするとスムーズに行きます。

  1. 財産目録を作成する
  2. 相続人がだれかを調べる
  3. 遺言書の内容を決める
  4. 遺言書の執行者を決める
  5. 遺言書を作成する理由を書く

事前準備をおろそかにすると、遺産相続が上手くいかなかったり、残された家族が揉めたりする恐れがあるので注意が必要です。

それぞれ紹介していくので、満足できる遺言書を作るために参考にしてください。

STEP1. 財産目録を作成する

最初に、渡すべき財産がどれくらいあるか、自分の資産と負債を書き出します。

エクセルなどでまとめても良いですし、ノートに箇条書きでまとめても良いでしょう。

資産不動産宅地・建物・農地・山林など
現金預貯金・現金
有価証券投資信託・株式・債権
借家・借地借地権・地上権
その他自動車・貴金属・骨とう品
負債借金借入金・住宅ローン・買掛金
債務保証人・連帯保証人の地位
税金固定資産税・滞納している税金

遺言書は正確に財産を書く必要があるので、書類を集めておく必要があります。

  • 登記簿謄本・・・不動産の所在地、権利関係が載っている書類。最寄りの法務局で入手。
  • 固定資産評価証明書・・・不動産価格が載っている書類。市町村役場で入手。
  • 投資信託の資料・・・有価証券などの情報。証券会社のサイトから入手。
  • 預金通帳のコピー
  • 借入金・ローン残高証明書など

正式な遺言書を書く前に少しずつ集めていきましょう。

STEP2. 相続人が誰かを知っておく

遺言書は公平に分割するのが無難ですから、遺言書を書く前に、通常はどのように分割されるかを知っておきましょう。

民法では、親族が相続人として決まっています。下の図が相続人の範囲をまとめたものです。

法定相続人

配偶者は常に相続人になっていて、残りは次の順番で選ばれます。

順位該当者ポイント
第1位子(直系卑属)・配偶者1/2、子1/2で分割
・子が死亡すると孫へ
第2位親(直系尊属)・配偶者2/3、親1/3で分割
・父母がいないと祖父母へ
第3位兄弟姉妹・配偶者3/4、兄弟1/4で分割
・兄弟姉妹がいないと甥姪へ

第1位がいない場合は第2位、第2位がいない場合は第3位へと続きます。

例1)配偶者がいて、子どもが2人いる場合
→配偶者に1/2、子どもに1/4ずつ配分されます。

STEP3. 遺言書の内容を決める

遺言書では次のことを決めることができます。

  • 相続人の指定や排除
  • 遺贈や寄付
  • 子の認知
  • 未成年後見人の指定

だれにどれくらい相続するか、どこに寄付するか、それに、残された子どもの認知や後見人の指定ができるということです。

ノートやメモ書きして、自分の希望をまとめておきましょう。

注意しておくべき「遺留分」

遺産分割において一つ注意しておきたいのは、遺産相続人には「遺留分」という最低限の取り分が保証されているという点です。

例えば、「愛人に全財産を贈る」と遺言書を書いても、相続人が家庭裁判所に請求(遺留分侵害額請求)した場合、下記の範囲で取り分の確保が認められます。

相続人配偶者子ども父母兄弟
配偶者のみ1/2
配偶者と子ども1/41/4
配偶者と父母1/31/6
配偶者と兄弟1/2
子どものみ1/2
父母のみ1/3
兄弟のみ

※兄弟姉妹には遺留分はありません。

STEP4. 遺言書の執行者を決める

遺言書の内容を実行してくれる執行者を決めておきます。

遺言書執行者を決めると、勝手に財産が処分されるなどのトラブルを防ぐことができますし、また、相続人同士で「だれが遺言書の実行をするの?」と揉めなくて済みます。

遺言書の執行者は、未成年者や破産者以外なら指定することができます。信頼できる人がいないなら、弁護士に依頼するのが良いでしょう。

STEP5. 遺言書を作成する理由を書く

遺言書には、遺言書本文以外に、自分の気持ちを伝える「付言事項」を入れることができます。

  • 家族への感謝
  • 遺言書の意図
  • 臓器提供や葬儀のお願い

遺言書の内容で家族が揉めないようにメッセージを残したり、葬儀に関する希望などを伝えられるわけです。

この付言事項には法的な効力は無く、書かなくても大丈夫ですが、もし、家族が遺言書で揉めることが想定されるなら書いた方が良いでしょう。

2. 遺言書の種類と選び方

遺言書には主に3つの種類があり、ここから自分に合ったものを選ぶことになります。

  • 自筆証書遺言・・・自分で作成する遺言書
  • 公正証書遺言・・・公証人と一緒に作成する遺言書
  • 秘密証書遺言・・・内容を公開しないための遺言書

基本的に、自分で書きたいなら自筆証書遺言、プロに作成を依頼したいなら公正証書遺言になります。(秘密証書遺言は、ほとんど使われていません。)

それぞれ紹介していきます。

※病気や怪我などで生命の危機にある状態で書く「特別証書遺言」というものがありますが、稀なケースなのでここでは扱いません。

2-1. お金をかけたくないなら自筆証書遺言

自筆証書遺言は、日付・文章・氏名を自筆し、押印して作成する遺言書のことです。

メリット・デメリットをまとめたのが下の表です。

メリット・紙と封筒と印鑑があれば作れる
・自分ひとりで作れる
・費用をおさえることができる
デメリット・形式を間違えると無効になる
・自筆で書く必要がある
・紛失や改ざんの恐れがある

自筆証書は死後、家庭裁判所の検認を受けてから、執行される流れになります。

もし、法務省令の様式に合ってないと無効になってしまうので注意が必要です。

遺言書の新しいルール

平成31年に民法が改正され、自筆証書遺言の作成方法が変更されました。

重要なのは、次の項目です。

財産目録の作成・PCや代筆での作成が認められる
・登記簿謄本や通帳のコピーが添付できる
法務局の保管制度・法務局が保管してくれるようになる(2020年7月10日より)
預かる時にチェックしてくれるので、検認が不要になる
・預かり証明書を発行してもらえる
・オンラインで閲覧できる

財産が多岐にわたる場合、自筆で書くのは大変でしたが、改正によって、財産目録はPCでも作成が可能になりました。(作成後、署名と押印は必要です)

また、以前は自筆証書遺言は自分で保管しておく必要がありましたが、現在では法務局で預かってもらうことが可能になります。

自筆証書遺言は誤りがあると無効になるという大きな弱点がありましたが、検認(家庭裁判所による開封時のチェック)が不要になり、無効になるリスクが減ることになります。

自筆証書遺言を書きたい方は、3章「自筆証書遺言の書き方」をご覧ください。

2-2. 確実に作りたいなら公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場で遺言の内容を伝え、公証人にまとめてもらって作成する遺言書のことです。

メリットとデメリットをまとめたのが下の表です。

メリット・自分で書く必要が無い
・法的に無効にならない
・紛失や改ざんの恐れがない
デメリット・費用や手間がかかる
・公証人に話さないといけない

自筆証書遺言のデメリットを無くしたのが、公正証書遺言です。

「お金をかけてでも確実な遺言書を作りたい」という方は、こちらを利用しましょう。

公正証書遺言にかかる費用

公正証書遺言には、次の費用がかかります。

  • 公正証書作成費用・・・相続額によって変わる
  • 証人2人の日当・・・依頼する場合、一人につき5,000円〜15,000円
  • 公証人の出張費用や交通費・・・公証役場以外で行う場合に必要

公正証書遺言作成費用は次の通りです。

相続する財産の価値公証人に支払う費用
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下11,000円
500万円を超え1,000万円以下17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下29,000円
5,000万円を超え1億円以下43,000円
1億円を超え3億円以下43,000円に5,000万円ごとに13,000円を加算
3億円を超え10億円以下95,000円に5,000万円ごとに11,000円を加算
10億円を超える場合249,000円に5,000万円ごとに8,000円を加算

参照:日本公証人連合会

ex)子どもに1,000万円、妻に3,000万円残す場合
17,000円+29,000円+11,000円(手数料)=57,000円

※公正証書遺言の文案作成を弁護士や司法書士に依頼する場合、別途費用がかかります。

公正証書遺言を書きたい方は、4章「公正証書遺言の選び方」をご覧ください。

2-3. あまり使われない秘密証書遺言

秘密証書遺言は内容を秘密にして作る遺言書のことです。

遺言を書いて公証役場に持っていき、封筒に署名捺印をして作成します。

メリットとデメリットをまとめたのが下の表です。

メリット・内容を知られない
・PCでの作成が可能
・証人の署名をもらうので改ざんや偽造を防止できる
デメリット・費用や手間がかかる
・証人が必要
・自分で保管するので紛失の恐れがある

自筆証書遺言と同様に、家庭裁判所の検認が必要になります。

年100件ほどしか使われていないですが、「隠し子や愛人に遺贈したい」など、内容を秘密にしたい時は検討しても良いでしょう。

秘密証書遺言にかかる費用

秘密証書遺言には、定額で11,000円かかります。

弁護士など専門家に依頼すると別途料金が必要です。

秘密証書遺言は、5章「秘密証書遺言の書き方」で紹介します。

3. 自筆証書遺言書の書き方

遺言書は、以前は全て手書きにする必要がありましたが、2019年1月13日より、パソコンで財産目録を作成したり、通帳のコピーを添付することができるようになりました。

下の図のように遺言書を書き、「別紙参照」とできるようになったわけです。

つまり、自筆で書かなければいけない部分が大幅に減ったのです。

遺言書の新しい書き方

出典:法務省パンフレット

ここでは、次の4つに分けてご紹介します。

  • 遺言書本文
  • 別紙目録
  • 予備的遺言
  • 付言事項

用意するのは、紙(便箋やレポート用紙)、消えないペン、封筒、印鑑です。

財産目録以外は手書きで書く必要があります。

印鑑は実印でなくても大丈夫ですが、信頼性のある実印が推奨されています。

3-1. 遺言書本文の書き方

遺言書の本文では手書きで次のことを書きます。

  • 日付 住所 氏名 印鑑
  • 財産をだれに譲るか
  • 遺言書の執行者はだれか

まとめると下のような形になります。

遺言書の本文

パーツごとに例文を紹介していきます。

遺言書本文の基本的な形

タイトル、遺言者氏名、日付、住所を書き、遺言書本文として第1条から条文を書いていきます。

遺言書

遺言者 ●● ●●

私は次のとおり遺言する。

第1条〜

令和◯◯年◯◯月◯◯日
住所:東京都〇〇区△△町〇〇丁目〜番

遺言者 ●● ●● 印

複数枚になる時は、全てに署名印鑑を入れてください。

財産相続の書き方① 別紙にまとめた財産を譲る書き方

第1条 私は別紙1の財産を、遺言者の妻 ◯◯◯◯(昭和◯◯年◯◯月◯◯日生)に相続させる。

法定相続人以外に相続させる場合は、「〇〇〇〇(住所〜、生年月日〜)に遺贈する」というように住所を記載します。

民法改定で、財産についてはコピーやPCでまとめることができるようになったので、この書き方が一番簡単でおすすめです。

財産相続の書き方② 別紙にまとめない書き方

第2条 私は下記の財産を、遺言者の長男 ◯◯◯◯(昭和◯◯年◯◯月◯◯日生)に相続させる。

(1) ◯◯銀行 ◯◯支店 種別 口座番号◯◯◯◯ 口座名義◯◯◯◯
(2) 有価証券 証券会社名 種別 数量 評価額

このように書く場合、財産まで全て手書きをする必要があります。

他の財産の書き方については、3-2.を参考にしてください。

財産相続の書き方③ 明示していない財産相続の書き方

遺言書に指定されていない財産が想定される場合は、次のように入れておきましょう。

第3条 私は、その他一切の財産を、長女 ◯◯◯◯(昭和◯◯年◯◯月◯◯日生)に相続させる。

未成年後見人の指定についての書き方

遺言書では相続以外のことも書くことができます。

第4条 未成年者の三男◯◯◯◯(平成◯◯年◯◯月◯◯日生)の未成年後見人として、次の者を指定する。

住所 ◯◯都〇〇区◯◯町◯丁目〜番
氏名 ◯◯◯◯
職業 ◯◯◯
生年月日 昭和◯◯年◯月◯日

遺言執行者の書き方

第5条 この遺言書の執行者として下記の者を指定する。

(事務所)◯◯都〇〇区◯◯町◯丁目〜番
(職業) 弁護士
(氏名) ◯◯◯◯
(生年月日)昭和◯◯年◯◯月◯◯日生

遺言執行者は相続人を選んでも大丈夫です。信頼できる人がいないなら弁護士に依頼するのが適切です。

遺言書の執行者を書かないと、家庭裁判所に執行人を選んで貰う場合が出てくるので、面倒なことになるので注意してください。

3-2. 別紙目録の書き方

財産目録はPCでまとめることができますし、他人に作成してもらうこともできます。

また、登記簿謄本や通報をコピーして「別紙1」と手書きして、署名押印するだけでも通用します。

財産目録を作る場合、決まった様式は無いですが、土地だったら住所、地番、地目、預金預金なら銀行名、口座番号、種別、預金額など、正確に書く必要があります。

財産目録の書き方

PCで作成する場合は、印刷した後に署名印鑑を忘れないようにしましょう。

PCで作成したい方は、↓をワードなどにコピペして情報を入れて作っても良いです。

不動産
(1) 土地
所在 ◯◯県◯◯市◯丁目
地番 ◯番◯
地目 宅地
地積 ◯◯平方メートル
(2)家屋
所在 ◯◯県◯◯市◯丁目◯番◯号◯
家屋番号 ◯◯番
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階◯◯平方メートル
            2階◯◯平方メートル

預金
(1)◯◯銀行 ◯◯支店 種別 口座番号◯◯◯◯ 口座名義 ◯◯◯◯
(2)◯◯銀行 ◯◯支店 種別 口座番号◯◯◯◯ 口座名義 ◯◯◯◯

投資信託
(1)証券会社 種別 数量 評価額
(2)証券会社 種別 数量 評価額

生命保険
(1)保険会社 種別 保険証番号 支払予定額 保管者
(2)保険会社 種別 保険証番号 支払予定額 保管者


登録番号 用途(自家用など)  車名 型式 車台番号

負債額
債権社名 債権額 種別

エクセルで表にまとめることもできます。

3-3. 予備的遺言

遺言書で指定した相続人が先に亡くなった場合、その人が相続するはずだった財産は、法定相続人の間で遺産分割協議をして決めることになります。

それを回避するために入れておくのが予備的遺言です。

第〇条 遺言者は、遺言者の妻〇〇〇〇 (昭和〇〇年〇〇月〇〇日生) が、遺言者の死亡以前に死亡(同時死亡を含む)している場合、遺言者は同人に相続するとした財産を長男〇〇〇〇 (昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる。

このように、「◯◯が先に(同時に)亡くなった場合、財産を◯◯に相続させる」と指定しておくのが予備的遺言です。

必ずしも入れる必要はありませんが、「将来、認知症などで書き換えが難しくなるかも」と不安に思う方は入れておくと良いでしょう。

3-4. 付言事項の書き方

親族にお礼や財産の分割糸などを伝えたい場合は、遺言書の本文の後に、付言事項を入れておきます。

特に定型文はありませんが、残された家族が遺言書に納得し、円満でいられるようなメッセージにしましょう。

(付言事項)

今まで本当にありがとう。ささやかながら財産を残すことができましたので、有効に使ってください。家と土地は妻の花子にゆずりますが、その分、預貯金を多めに太郎と次郎に渡すので、自分の夢の実現に使ってください。

2人ともお母さんを大事にしてください。

葬儀はしなくて良いから、お墓の管理のことだけお願いします。
これからも、家族円満でいてくださいね。

この付言事項では法的な効力はありませんが、自由にお願いすることは可能です。

3-5. 封筒に入れて封をする

遺言書を書き終わったら、封筒に入れて、のり付けをして封印します。

封筒に使う印鑑は、遺言書で押した印鑑と同じものを利用します。

遺言書の封書

家族が開けないように、「開封せずに家庭裁判所に提出すること」など注意書きしてもOKです。

遺言書は自分で保管するか、信頼できる相続人に預けておくか、また、弁護士に預けることになります。

2020年7月10日より、法務局がチェック、保管をしてくれるので、自筆証書遺言を作成したい方はこちらを利用しましょう。無効になるリスクを減らせます。

4. 公正証書遺言の書き方

公正証書遺言は、公証人が遺言者の口述を筆記して作成します。

次の流れで作成していきます。

  1. 公証人と事前に打ち合わせする
  2. 2人の証人と立会の下で公正証書を作成する
  3. 遺言者と証人、公証人が署名押印する

公正証書遺言の作成は、2週間~1ヶ月程度を見積もっておく必要があります。

近場の公証役場は「日本公証人連合会」で探せます。公証役場に行けない場合は、公証人に来てもらって作成することも可能です。

STEP1. 公証人と事前に打ち合わせする

遺言書を作成する前に、どのような遺言書にしたいのか、だれに財産を渡すのかなどを公証人に相談して、原稿を作成します。

打ち合わせでは、次の書類を持っていく必要があります。

  • 免許証などの本人確認書類
  • 相続人との関係が分かる戸籍謄本や相続人の住民票
  • 不動産の登記簿謄本や預金口座のコピー

どのような遺言書を作成するのか、メモやノートをしていくと良いでしょう。

また、弁護士などの専門家に相談すると、公証人との打ち合わせを行って、遺言書の原稿を作成してもらうこともできます。

STEP2. 2人の証人と立会の下で公正証書を作成する

原稿が決まった後は、遺言者は、証人と公証人の前で遺言を口述して、遺言書を作成してもらいます。

証人は、パスポートや運転免許などの本人確認書類と印鑑を持っていきます。

次のような方は、証人になってもらうことができません。

  • 未成年者(20歳未満)
  • 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

推定相続人とは「法律の定めから相続権があると考えられる人」のことです。

要するに、財産相続することになる関係者、それに、公証人の関係者は証人になれない場合があるということです。

周りに頼める人がいない場合は、弁護士さんなどに依頼することになります。(公証役場で紹介してもらえる場合もります)

STEP3. 遺言者と証人、公証人が署名押印する

公証人が作成した公正証書遺言書を読み上げ、内容の確認をした後、遺言者と証人がそれぞれ署名・押印して、遺言書は完成します。

ちなみに、公正証書は以下のような形になります。

公正証書1

公正証書例2

自筆証書遺言と同じように、付言事項を入れて、家族に気持ちを伝えることもできます。

公正証書遺言は、公証人に作成してもらうので、書き方について心配する必要はありません。

もし、公正証書遺言に関して疑問がある方は、公証人や弁護士の方に聞いてみてください。

5. 秘密証書遺言の書き方

秘密証書遺言は、次の流れで作成していきます。

  1. PCや手書きで遺言書を作成する
  2. 2人の証人と公証役場に遺言書を持っていく
  3. 公証人に日付を書いてもらい、遺言者と証人が署名押印する

近場の公証役場は「日本公証人連合会」で探せます。

それぞれ紹介します。

STEP1. PCや手書きで遺言書を作成する

秘密証書遺言は、署名は自筆でする必要がありますが、PCで作成したり、代理人に書いてもらうこともできます。

書き方は、自筆証書遺言を参考にしてください。

秘密証書遺言が無効になった場合、自筆証書遺言の形式に沿っている場合は有効になるので、自筆証書遺言の書き方に沿って作成することをおすすめします。

書いた後は押印して封をします。(秘密証書遺言では、認印を使うことができます。)

STEP2. 2人の証人と公証役場に遺言書を持っていく

遺言書を書いた後は、2人の証人とともに公証役場に持っていきます。

証人は、パスポートや運転免許などの本人確認書類と印鑑を持っていきます。

次の方は、証人になることはできません。

  • 未成年者
  • 遺言者の推定相続人と受遺者
  • 配偶者と直系家族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇い人

未成年や遺言の受益者、それに、公証役場の関係者は証人になれません。

周りに頼める人がいない場合は、弁護士さんなどに依頼することになります。(公証役場で紹介してもらえる場合もあります)

STEP3. 公証人に日付を書いてもらい、遺言者と証人が署名押印する

遺言者は、公証人に遺言書を提出し、自分の氏名と住所を伝え、自分の遺言書であることを申述します。

公証人は、封紙に提出日と申述内容を記載し、遺言者と証人がそれぞれ署名押印すれば秘密証書遺言が完成します。

完成した秘密証書遺言は、自分で保管することになります。

5. 遺言書を書く際の4つの注意点

遺言書を書く際は、次のことを注意しておきましょう。

  1. 分からないならプロに相談する
  2. 遺言書でできないことがあることを知っておく
  3. 状況が変わったら遺言書を更新する
  4. 相続人の心情に配慮する

それぞれ紹介します。

注意点① 分からないならプロに相談する

遺言書で分からないことがある場合や、作成を任せたい場合は、プロに頼りましょう。

遺言書を頼むのは、次の4つの依頼先があります。

依頼先メリット
弁護士一番おすすめ。法律のプロ
司法書士不動産の相続に不安がある方におすすめ
税理士相続税の相談がしやすい
行政書士料金をやすくおさえられることが多い

基本的に弁護士に相談すれば間違いありませんが、他の組織でも対応してくれるところがあります。

東京弁護士会、埼玉弁護士会などのサイトから地元の相談センターが見つかるので、「弁護士 〇〇県」で検索してみてください。

注意点② 遺言書でできないことがあることを知っておく

遺言書では、法律で決められたこと以外はできません。特に、次のことはできないことは知っておきましょう。

  • 結婚や離婚、養子縁組
  • 遺留分減殺請求の禁止

遺留分減殺請求(遺留分侵害請求)とは、法定相続人が遺産の取り分を確保するための請求のことで、これを止めることはできません。

例えば、遺言書で「隠し子に財産を全て譲る」と書いてあった場合、本来ならもらえるはずだった人は、この請求によって、法定相続分の半分を確保することができます。

ex)親子2人家族で、亡くなった親が遺言書で「財産は隠し子に全て譲る」と書いた場合、本来は100%もらえるはずだった子供は、請求によって半分の50%がもらえます。

注意点③ 状況が変わったら遺言書を更新する

遺言書を作成してから、遺産相続してもらう親族に不幸があった場合など、状況に応じて遺言書を更新する必要があります。

また、自分の心境の変化があった場合にも変えなければなりません。

注意点④ 相続人の心情に配慮する

遺言書を書いて財産を分割する場合、自分では公平に配ったつもりでも、相続人たちの間で不平不満が生まれる場合も多いです。

そういうい場合に備えて、遺言書の「付言」に、財産分割の意図、家族への気持ちを伝えるようにしましょう。

6. 遺言書に関するQ&A

遺言書についてよくある疑問をQ&A形式にしてまとめました。

  1. 遺言書は何に書くのですか?
  2. 遺言書は書くべきですか?
  3. 訂正する時はどうすればいいですか?
  4. 2枚以上になったら契印が必要ですか?
  5. 遺言書を撤回・修正するにはどうすればいいですか?

それぞれ紹介します。

6-1. 遺言書は何に書くのですか?

遺言書で使う紙に指定はなく、縦書きでも横書きでも構いません。

ペンについても特に指定はありませんが、書き換えを防ぐため、万年筆やボールペンなど、消せないもので書くようにしましょう。

遺言書キットなど、自分で作れるようにガイドしてくれる商品もあるので、書き方に不安がある方はチェックしてみてください。

遺言書キット

遺言書キット』は、遺言書の書き方の説明と、書くための封筒とシートがセットになっています。

6-2. 遺言書は書くべきですか?

遺言書を書くべきなのは、次のような場合です。

  1. 相続トラブルが起きそうな場合
  2. 相続人が多い場合
  3. 相続人がいない場合
  4. 相続させたくない相続人がいる場合
  5. 親族以外に譲りたい場合
  6. 財産が不動産などで分割が難しい場合
  7. 財産を寄付したい場合

遺言書を残さないと、遺産分割で揉めそうだと思うなら残した方が良いですね。

6-3. 訂正する時はどうすればいいですか?

訂正したい部分に二重線を引き、その上に押印し、その横に訂正する文字を書きます。

そして、遺言書の末尾に「2字を削除4字挿入 終活太郎」というように、削除した文字と追加した文字、それに名前を自筆で追記すればOKです。

ただ、法律の改正で自筆部分が減ったのですから、書き直した方が良いと思います。

6-4.2枚以上になったら契印が必要ですか?

複数枚になった場合に、2枚にまたがって押す印鑑を契印(割印)と言います。

契印が無くても、無効になることはありませんが、入れておくことが推奨されています。

契印を入れてホチキスで止めた後に、封筒に入れれば完璧です。

6-5. 遺言書を撤回・修正するにはどうすればいいですか?

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、遺言書を破れば取り消すことができます。

公正証書遺言の場合は新たに作り、「令和◯◯年◯月◯日の遺言を全て撤回する」というような文言を入れることにします。

分からない場合は、公証人役場や弁護士に相談してみてください。

 7. さいごに

遺言書の書き方についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

遺言書は書き方を間違えると無効になってしまうので細心の注意を払って書きましょう。

不安なら、公正証書遺言を作って、弁護士や公証人に相談することをおすすめします。

このページが、読者の皆様の相続にお役に立てることをお祈りします。