賃貸で契約一時金を求められたら要注意!避けた方がいい全理由
賃貸物件の「契約一時金ってなに?」「契約一時金って返ってくるの?」など、契約一時金に関して、疑問に思っていませんか?
契約一時金は、契約するための手数料に近いお金で、退去するときに返金されません。そして、契約一時金には明確な定義がないので、過剰に請求され損することもある危険なお金です。
このページでは、大手不動産会社に5年勤務し、現在も賃貸部門で働く筆者が、以下の3つのことをご紹介します。
すべて読めば、契約一時金がどんな役割のお金なのか知ることができ、賃貸を借りるとき、トラブルなく契約することができるでしょう。
1. 契約一時金とはどんなお金?
契約一時金は、「賃貸」でほぼ使われない手数料のようなお金で、稀に消費者を騙そうとして使われるケースがある、ボッタクリに近い項目です。
ただ、似たような意味合いのお金だと「礼金」という項目があり、礼金であれば昔から習慣として、不動産業界で使われいる項目ですので安全です。
1-1. 契約一時金と礼金の違いは?
礼金は、部屋を貸してくれる貸主に、お礼として支払うお金ですが、契約一時金との明確な違いはなく、どちらも支払ったら返ってこないお金になります。
つまり、契約一時金とは、礼金を言い換えて使われる都合のいい言葉なのです。
世間的に、「礼金=無駄なお金」と認識されやすいため、募集図面には「礼金0・契約一時金1ヶ月」として募集することもあります。
礼金とは別で請求されることもある
不動産会社によっては「礼金1ヶ月・契約一時金1ヶ月」で募集することもあります。
礼金と契約一時金を一緒に請求することは、法律で禁止しているわけではないので、とくに違法とはならないのです。
ただ、明らかに無駄なお金を支払うことになってしまうので、そんな請求をしてくる不動産会社は避けましょう。
1-2. 契約一時金には敷金も含まれる?
契約一時金と敷金はまったくの別物です。そもそも性質が下記のように異なります。
- 契約一時金・・・返金されないお金として貸主に支払う
- 敷金・・・退去するまでの担保として貸主に預ける
上記のように、返ってくるお金と、返ってこないお金にそれぞれ分かれます。
しかし、契約一時金を「敷金と同じように返ってくるお金ですよ」と伝えてくる営業マンもいるので、注意してください。
その言葉を鵜呑みにして契約してしまうと、退去したとき一切返ってこないので、内容をきちんと理解しておきましょう。
1-3. 契約一時金はいつ払うの?
不動産会社で契約したあと、敷金などの初期費用と一緒に支払います。
基本的には一括で支払いますが、クレジットカード払いが対応している不動産会社であれば、分割での支払いも可能です。
ただし、カード決済手数料や分割手数料が発生するので、事前に費用を確認した上で検討しましょう。
1-4. 契約一時金の相場は決まってる?
一般的には、家賃の1〜3ヶ月分の金額で設定されていることが多いです。
そして、礼金などと同様に、交渉して安くすることは可能です。
ただし、交渉する時期や、交渉方法にも知識が必要なので、3章「賃貸の初期費用を安くする交渉方法」で詳しく解説します。
1-5. 契約一時金の見せ方に要注意
例えば、「礼金1ヶ月・敷金1ヶ月」の物件を「礼金0・敷金0・契約一時金2ヶ月」のように募集すれば、礼金敷金0で見栄えが良くなり、ハードルが低くなったように感じます。
このとき、悪徳な不動産会社は、礼金敷金が0になった部分だけをアピールして、契約一時金については、「敷金と同じように返ってくるお金」などと、口頭で説明して自分が言った証拠を残しません。
1-6. 契約してトラブルが起こったとき
先ほどの条件で契約してしまうと、退去したときに1円も返ってこないため、トラブルになってしまいます。
このとき、契約書にサインしていることを理由に、不動産会社に言いくるめられてしまう人もいますが、諦めてはいけません。
不動産会社は、以下どちらかの協会に属しているので、会社名とトラブル内容を伝えて解決策をだしてもらいましょう。
協会名 | 協会の強み | 電話番号 |
全国宅地建物取引業協会連合会 | 全国の不動産業者の約80%が加入する協会 | 03-5821-8113 |
全日本不動産協会 | 加入している不動産会社を検索して相談できる | 03-5338-0370 |
事前にトラブルを防ぐために
希望の物件の募集図面に、契約一時金と記載されているときは「SUUMO」や「HOME’S」で、希望物件を取り扱っている不動産会社を探してみましょう。
別の不動産会社でも募集していれば、通常通り「礼金・敷金」となっていることもあるので、契約一時金の不動産会社は避けて、問い合わせてみましょう。
以上のように、不動産会社を変えれば、契約一時金を避けることはできますが、それ以外の項目はどの不動産会社でも求められるので、2章で詳しく解説します。
2. そのほかに必要な賃貸契約に関わる費用
一時金を求められたら、その他の不動産会社を検討するのがベストですが、その他の項目でも費用を請求されます。
この章では、契約一時金以外で求められる初期費用を、それらが交渉できるかできないかも合わせて紹介していきます。
希望する物件に下記の項目が含まれていて、交渉可能な項目なら、どんどん交渉して初期費用を最大限安くしていきましょう。
誰に払うもの? | 相場はいくら? | 交渉はできる? | |
敷金 | 貸主 | 1~2ヶ月 | △ |
礼金 | 貸主 | 1~2ヶ月 | ⚪︎ |
前家賃 | 貸主 | 1ヶ月 | ✖︎ |
日割り賃料 | 貸主 | ———- | ———- |
仲介手数料 | 不動産仲介会社 | 0.55~1.1ヶ月 | ⚪︎ |
火災保険料 | 火災保険会社 | 15,000円 | ⚪︎ |
鍵交換費用 | 貸主 | 22,000円 | ⚪︎ |
保証委託料 | 家賃保証会社 | 30~60% | ✖︎ |
オプション(除菌・消臭など) | 不動産仲介会社 | 10,000~30,000円 | ⚪︎ |
私の経験上、交渉がうまくいった人は、トータルで家賃1ヶ月分以上安くすることに成功しているので、積極的に交渉した方がいいです。
ただし、マナーとして申し込みをするタイミングで、不動産会社に交渉するようにしましょう。審査後に安くしてくれと言うと貸主側の印象も良くなく、入居を断られることもあります。
2-1. 貸主に預ける「敷金」
1章でも説明しましたが、敷金は、契約するときに家賃や部屋の補修費用などの支払いを担保する目的で、貸主へ預けるお金です。
一般的に「家賃の1~2ヶ月分」が相場となっており、家賃滞納やあなたに原因のある室内の損傷や破損がなければ、基本的には退去時に全額返還されます。
また、関西では敷金のことを保証金と呼んでいますが、役割や意味は一緒です。
敷金の交渉のしやすさは「△:難しい」です
敷金は何かあったときの担保として預ける保証の現れなので、貸主としても絶対に預かっておきたいお金です。
なので敷金の減額交渉をすると、貸主に「預けるお金もないなら、何かあったとき家賃を滞納されるかも」と思われる可能性もあるので、交渉はおすすめできません。
ただし、敷金5ヶ月など、明らかに高すぎる金額を求められたときは、どんな理由で5ヶ月分も必要になるのか確認しましょう。
償却や敷引きには要注意
償却と敷引きは、ほぼ同じ意味合いの言葉で、内容は「預けた敷金は返しません」ということを表した言葉です。
仮に、敷金を2ヶ月分預けて、償却1ヶ月の契約になっていたら、退去時には1ヶ月分の敷金しか返金されません。
なので、敷金が高すぎるときは、償却や敷引きが設定されている恐れがあるので、契約内容に注意しましょう。
2-2. 貸主に支払う「礼金」
こちらも1章で説明しましたが、礼金は、部屋を貸してもらう”お礼”として貸主に支払う費用で、一般的に「家賃の1~2ヶ月分」が相場です。
敷金と違い、退去したときに返金されることはありません。
また、1~3月は引越しシーズンで、礼金が高くても引っ越す人が多いのため、礼金1ヶ月→2ヶ月に値上がりすることも多いです。
礼金の交渉のしやすさは「◯:上手くいくことがある」です
礼金はあなたにとって一切メリットがない費用なので、交渉して安くしましょう。
交渉方法は、3章「賃貸の初期費用を安くする交渉方法」で、詳しく解説します。
2-3. 翌月分を事前に支払う「前家賃」
前家賃とは、契約が開始される”翌月分”の家賃を、初期費用と合わせて事前に支払うお金です。
理由として、家賃が口座引き落としのときは、銀行の設定手続きに時間がかかるので、翌月ATMやコンビニから振り込む手間を省くために、回収しています。
また、家賃を振込で支払う人は、引っ越した当月だとバタバタしていることもあり、翌月の家賃を払い忘れることが非常に多いため、事前に回収してることも一つの理由です。
不動産会社によっては翌々月分を求められる
不動産会社の規定で決まってるときは、翌月と翌々月の2ヶ月分を求められることがあります。
まとまったお金が用意できない人は、不動産会社に翌月分だけにしてもらえないか相談してみましょう。
2-4. 貸主に支払う「日割り賃料」
契約開始となる日が月初めの1日であれば、日割り賃料は必要ないですが、中旬や下旬のときは家賃を日割り計算して算出します。
例えば、12月25日が契約開始日だとしたら、12月31日までの”7日分”を日割り賃料として、初期費用に組み込みます。
30か31で割る計算は不動産会社によって異なる
日割り賃料は「毎月の賃料÷その月の日数」で計算します。
しかし、31日間ある月でも、不動産会社の規定により30日間で計算されることがあるため、少しだけ差が生じます。
規定ではなく、単なるミスで計算してることも稀にあるので、金額が異なるときは念のため確認してみましょう。
2-5. 不動産会社に支払う「仲介手数料」
仲介手数料は、部屋を契約する手伝いをしてくれたお礼として、仲介会社に支払う費用です。
仲介手数料の上限は、家賃1.1ヶ月分(税込)までと法律で決められているので、1.1ヶ月分以上の請求をされたら違法となります。
また、貸主と直接やり取りをして契約するときは、仲介する立場の人がいないので、仲介手数料はかかりません。
仲介手数料の交渉のしやすさは「◯:上手くいくことがある」です
仲介手数料は初期費用の中でも比較的交渉しやすく、金額も大きいので必ず交渉することが望ましいです。
こちらも、3章「賃貸の初期費用を安くする交渉方法」で、詳しく解説します。
2-6. 火災保険会社に支払う「火災保険料」
火災保険料は、万が一に備えて加入する保険の費用で、全国どの物件でも加入が必要となり、2年間:1万円前後のプランが一般的です。
多くの場合、貸主に指定された保険会社にそのまま加入しますが、実際のところ指定された保険会社に加入する義務はありません。
保険の法律では、物件の契約と抱き合わせで保険の加入を求めることは違法な行為となります。
火災保険の交渉のしやすさは「◯:上手くいくことがある」です
上述したように、抱き合わせで加入を求めることは違法なので、「自分で安い保険会社を選んで契約したい」と交渉することができます。
相場より安い保険会社は3章で紹介するので、確認してみましょう。
現在加入している保険会社を継続できる
いまも賃貸物件に住んでる方は、現在加入している保険会社に連絡して住所変更だけすれば、継続できることもあります。
引っ越すときは、次の不動産会社に保証プランを伝える必要があるので、保険会社にプランの詳細を教えてもらいましょう。
2-7. 貸主に支払う「鍵交換費用」
鍵交換費用は、前の入居者が使っていた鍵を交換するための費用です。
防犯上交換するケースがほとんどですが、基本的には任意の項目なので、あなたが希望しなければ前の入居者と同じ鍵を使用することになります。
ただし、不動産会社の規定で退去後は必ず交換すると決めていることもあるので、不動産会社に鍵交換の取り決めを確認してみましょう。
鍵の種類により金額が大きく異なる
鍵にはたくさんの種類があって値段も大きく異なり、高いものだと2万円以上する鍵もあるので、費用もあわせて確認するようにしましょう。
昔からある「くの字型」の鍵は安く、防犯性が優れているディンプルキーは高くなります。
引用:美和ロック株式会社
鍵交換費用の交渉のしやすさは「◯:上手くいくことがある」です
鍵交換にかかる費用は「貸主負担にして欲しい」と交渉することができます。
うまくいけば1~2万円お得になるので、3章で交渉方法を詳しく解説します。
2-8. 家賃保証会社に支払う「保証委託料」
保証委託料は、連帯保証人がいないときに利用する「家賃保証会社」に支払う費用で、一般的に「総賃料の30~60%」が相場です。
総賃料とは、家賃や管理費のほか、駐車場代など、毎月貸主に支払う費用をまとめた金額です。
連帯保証人がいても利用を求められることがある
平成26年度の国土交通省の調査では、新規契約の6割以上が保証会社の利用を必須にしてるとの調査結果を発表しています。
つまり、6割以上の物件が連帯保証人がいても利用しないといけない状態になっているのです。
保証委託料の交渉のしやすさは「×:不可能」です
保証委託料は保証会社に支払う費用なので、交渉して安くすることはできません。
2-9.不動産仲介会社に支払う「オプション費用」
不動産会社によっては、下記のようなオプションを付けようとしてきますが、付けられていたら、外してもらえるようにお願いしましょう。
- 消臭・消毒(相場1~2万円/1回)
- 入居サポート(相場1~2万円/2年)
内容としては、以下の場合が多く、価格に見合っていないことが多いため、外すように伝えましょう。
- 消臭・消毒:入居前に消臭・消毒スプレーをかける
- 入居サポート:水道のトラブル時などに、業者を手配してくれる
今時、ネットなどで簡単に業者を探すことができるので、価格に見合っているとは言えないでしょう。
オプション費用の交渉のしやすさは「○:上手くいくことがある」です。
オプション費用は「外して欲しい」と交渉することができます。
ただし、一部、貸主がオプションを必須にしている場合があります。
こちらも、3章「賃貸の初期費用を安くする交渉方法」で紹介するので、確認してみましょう。
3. 賃貸の初期費用を安くする交渉方法
賃貸物件の初期費用は、下記の2つの支払い先があり、不動産会社に支払う金額は割引をしてもらいやすいです。
仲介してくれた不動産会社 | 払う相手 | 物件の所有者である貸主 |
仲介手数料やオプションサービス代 | 払うもの | 礼金や家賃などの物件費用 |
◎交渉しやすい | 交渉難易度 | △交渉しにくい |
特に、「不動産会社」に支払う以下の費用は、より割引を狙いやすいです。まずは、不動産会社を安く使うためのコツを紹介します。
- 仲介手数料:家を探した不動産会社に支払うお金(家賃の0.55~1.1ヶ月(税込))
- オプション費用:消臭や除菌などのオプション(10,000~30,000円)
3-1. 仲介してくれる不動産会社を安く使うポイント
大手の「アパマンショップ」から、地元の不動産屋さんまで、不動産仲介をしている会社は複数あり、同じ物件でも使う不動産会社によって金額に差が出ることがあります。
そこで、下記の2つを実践することで、仲介してくれる不動産会社を安く使うことができます。
- ①仲介手数料を無料にする
- ②オプションはつけない
仲介会社は、物件を紹介すればするだけ儲かるので、「より条件のいい人を..」と考える貸主とは違い、時期に限らず安くしてもらいやすいです。
①仲介手数料を無料にする
仲介手数料は、不動産会社に紹介や契約のサポートの代金として、支払うお金で、家賃1ヶ月分が相場です。ただ、不動産会社が自由に決められ、中には無料にしてくれる不動産会社も存在します。
以下の不動産会社は仲介手数料無料の物件を複数扱っています。
- ゼロ部屋(東京中心):https://www.r-core.co.jp
- アブレイズコーポレーション(東京中心):https://www.ablaze.co.jp
- ゼロ賃貸(大阪中心):http://www.zero-chintai.jp
- NAGOYA家不動産(名古屋中心):http://nagoyakafudousan.com/muryou.html
- ベストバランス(福岡中心):http://www.bestbalance-fukuoka.jp
- 札幌ZERO賃貸(北海道中心):http://fudousan-eazero.com
まだ部屋を決めていない状態でしたら、上記のサイトを利用し物件を探すとスムーズです。
もう家を決めている方は、上記サイトや、Googleなどで「物件名+仲介手数料無料」で検索し、仲介手数料が無料や半額の会社を探しましょう。
見つかった場合、「A社さんが仲介手数料無料のようなんですが、無料にしてもらえませんか?」と相談することで安くしてもらえる可能性があります。
なぜ仲介手数料を無料にできるの?
物件によって、不動産会社は貸主から広告料(業界用語でAD)をもらえるからです。
広告料をもらえる物件であれば、仲介手数料を取らなくても利益が出るので、無料にしてくれます。
逆に、無料になっていない会社は、仲介手数料と広告料の両方を利益にしているのです。
②オプションはつけない
エイブルやアパマンショップなどの大手の不動産会社は下記のようなオプションを付けようとしてきますが、付けられていたら、外してもらえるようにお願いしましょう。
- 消臭・消毒(相場1~2万円/1回)
- 入居サポート(相場1~2万円/2年)
消臭・消毒は室内に消臭スプレーを吹きかけるだけのことが多いです。
入居サポートは、水道トラブルなどの時に、業者を手配してくれるものですが、今の時代、トラブル時の業者はネットで簡単に探せます。
以上のように、価格に見合っていないサービスの可能性が高いです。
オプションが付いている場合は「〇〇のオプションは不要なので外していただけませんか」と確認しましょう。
ただし、不動産会社ではなく、貸主がオプションを必須にしているケースもあり、外すことが不可能な物件もあります。
1度確認し、外してもらえないようなら、諦めてオプション代を払うか、物件を変えることになります。
3-2. 貸主さんとの交渉のポイント
貸主さんは、個人の人から、たくさんの物件を保有している企業まで、幅広いです。
物件ごとに価格が決まっているため、安くなる可能性は低いですが、人気のない物件は「借りてくれる人を欲しがっている」状態で、交渉すれば安くしてくれることもあります。
基本的に、貸主さんへの交渉は物件を仲介してくれる不動産会社が行いますが、不動産会社への伝え方次第で安くできるかが異なります。
「交渉のしやすさ」「どのくらい安くなるか」を踏まえ、おすすめ順に下げられる項目を紹介します。
交渉のしやすさ | 金額面のインパクト | |
①礼金をカットしてもらう | ★★★★☆ | ★★★★★ |
②フリーレント をつけてもらう | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
③鍵交換費用を負担してもらう | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
④家賃を下げてもらう | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ |
不動産会社を通したとしても、何回も交渉をすると貸主へ与える印象はよくないため、2項目以上の交渉は避けましょう。
また、多くの人が引越す、3~4月は「黙っていても申し込みがある」時期ですから、割引交渉をしようとすると、入居を断られる可能性もありますので、交渉は避けましょう。
①礼金をカットしてもらう
礼金は、「お礼」という意味のお金で、貸主からしてもサービスしやすく、人気のない部屋の場合はカットしてもらいやすいです。
「家賃1~2ヶ月」を浮かせられ、インパクトも大きいため、礼金が入っている物件の場合、最優先で交渉しましょう。
ただ、無条件での交渉は難しいので、下記のように1~2年住むことを条件に礼金をカットしてもらいましょう。
「短期違約金」を条件に入れて、1年以内の解約は賃料1ヶ月分を違約金として支払うので、礼金を0にしてもらうことはできそうでしょうか。
②フリーレント をつけてもらう
礼金がない物件の場合、フリーレント をつけてもらえるよう交渉しましょう。
フリーレントとは、決められた日数分の家賃が無料になることで、取得できる平均値は0.5ヶ月〜1ヶ月です。
インパクトも大きく、毎月の家賃よりは交渉しやすいため、つけてくれるように頼みましょう。
実際に交渉するときは、「短期違約金」を申し出るか、下記のように「すぐに入居する」ことを条件に交渉してみましょう。
審査承認後、すぐに契約と契約金の支払いを済ませることを条件に、フリーレント1ヶ月を付けてもらうことはできますでしょうか?
③鍵交換費用を負担してもらう
鍵交換の費用が請求書に入っている場合、「貸主さん負担で交換して欲しい」と交渉しましょう。
なぜなら、鍵交換費用は「貸主さんが支払うことが妥当」と国が定めており、原則は貸主さんの管理業務のひとつと言えるからです。
「国交省ガイドライン」には下記の通り記載されています。
鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)
入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人(貸主)の負担とすることが妥当と考えられる。
上記のことから、貸主さんに費用を負担してもらうために、不動産会社の担当者へ下記のように伝えてみましょう。
賃貸のガイドラインを確認したところ、鍵交換費用は貸主が負担することが妥当となっていたので、貸主さんに負担して頂きたいです。
(礼金を払う場合はさらに)今回は礼金も支払うので、礼金の一部から費用を負担して頂きたいです。
「鍵交換の費用を渋って契約が無しになるぐらいなら、貸主さんが負担する」となり、負担してもらえることがあります。
④家賃を下げてもらうのは最終手段
家賃は難易度が高いため、礼金やフリーレントが断られた場合、ダメ元で交渉しましょう。
難易度が高い理由は、以下の2つです。
- 貸主にとって長期的な収入が減る
- 家賃収入=物件の価値と考えることが多く、家賃を下げると物件の価値が落ちる
家賃を下げるくらいなら、フリーレントをつける、という貸主も多く、家賃を下げてくれる可能性は低いため、最後の交渉材料にしましょう。
下記の交渉材料が効果があります。重要なのは「あなたを逃して別の人を探すくらいなら、あなたで決めてしまおう」と思わせることです。
- 会社の決まりで、家賃が◯◯万円を切れば週末にでも契約することができます。
- 別の物件と迷ってるが、こっちがあと◯◯円安くなるならこっちに決めたいです。
3-3.初期費用を下げるその他のテクニック
上記以外に、「火災保険」を自分で選ぶことで、時期にかかわらず、数千円の節約ができることがあります。
賃貸物件の火災保険は加入が必須ですが、貸主が指定する保険会社に加入する義務はありません。
そのため、「自分で探して契約したいので、必要な補償内容(補償金額)を教えてください」と、不動産会社に相談してみましょう。
教えてもらった補償内容を火災保険の会社に伝えればすぐに見合うプランを出してくれるので、貸主の指定する火災保険と比較して安ければそちらにしましょう。
保険料は見積もり次第になりますが、火災保険会社10社の料金を比較した結果、「日新火災(https://direct.nisshinfire.co.jp/)」が最安になる可能性が高いです。
ネット上に家族構成を入力すると料金が出るため、提案された火災保険の料金と比較しましょう。
契約完了したら保険証券が発行されるので、不動産会社の指示に従い、提出しましょう。
4.まとめ
賃貸の契約一時金について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
契約一時金として募集されることは非常に稀で、何かしらの理由があるので、退去するときには返ってくるお金なのか、必ず確認するようにしましょう。
万が一、トラブルに遭ったときは、以下の相談窓口に問い合わせて、解決策を出してもらいましょう。
協会名 | 協会の強み | 電話番号 |
全国宅地建物取引業協会連合会 | 全国の不動産業者の約80%が加入する協会 | 03-5821-8113 |
全日本不動産協会 | 加入している不動産会社を検索して相談できる | 03-5338-0370 |
そして、契約に必要な費用を少しでも安くできるように交渉して、誰よりもお得に契約できることを陰ながら願っています。